「核抑止力は、世界を絶え間ない脅威にさらし続ける」2020/10/03 07:00

 ゴルバチョフさん、2019年12月17日の朝日新聞のインタビューの続き。 INFの失効は、「時代の流れを逆転させる恐れがあります。米国は包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を拒否し、2002年には米国の一方的脱退で弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約が失効しました。重要な柱の条約のうち、いま残っているのは新戦略兵器削減条約(新START)のみ、その運命も先行き不透明です」

「脱退の背景には、軍事的な制約から自由になり、絶対的な軍事的優位を狙う米国の意志があります。だが、今の世界で一国による覇権はありえない。これは虚妄の目標であり、願望です。安全保障環境が不安定になれば、新たな軍備拡張競争により、世界政治が無秩序と予見不可能性にさらされます。米国を含めすべての国の安全が損なわれるでしょう」

 「現職の米大統領が『我々は最も豊かで、どこよりも金がある。だから軍事化を進める』と発言しています。米国はいったい誰と戦おうとしているのでしょうか。それはロシアでしょう。しかし核兵器の新しい競争の道に再び立つことは許されません。妄想を相手にするのはやめて、現実政治に取り組むべきです。我々に必要なのは平和であって、世界の終末ではありません」

 まず必要なのは、「早急に米ロの対話を再開させることです。INF問題や新STARTの延長だけでなく、平和と安全の問題、核なき世界へ向けた動きを復活させることです。すべての核保有国は一歩を踏み出さなければなりません。核抑止力は、核兵器のエラーや核のテロから世界を守りません。むしろ世界を絶え間ない脅威にさらし続けます」

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