核軍縮を実現し、冷戦終結を導いたゴルバチョフ氏の発言2020/10/02 07:20

 元ソ連大統領、ミハイル・ゴルバチョフ(89)さんの最近の発言に、今の言葉を使えば「いいね」をつけたい。 米ソ冷戦のさなか、夢想とも思われた核軍縮を実現し、冷戦終結をも導いた人だ。

 1985年3月、ソ連共産党書記長に就任、グラスノスチ(情報公開)、ペレストロイカ(改革)を掲げて、国内経済の再建、民主化に向けた大胆な政治改革を打ち出した。 1990年には共産党の一党独裁から複数政党制の容認、大統領制の新設など憲法改正を行い、同年3月には初代大統領に就任した。 外交面では、西側との緊張緩和を追求し、冷戦終結に携わり、10月ノーベル平和賞を受賞した。 しかし1991年8月にヤナーエフ副大統領らによるクーデター未遂事件で政治的権威を失い、ソ連共産党の実質的解体を宣言、同年12月25日のソ連消滅に伴い大統領職を辞任した。

 まず、2019年12月17日の朝日新聞のインタビュー(聞き手、副島英樹編集委員、喜田尚モスクワ支局長)を読んでみたい。 中距離核戦力(INF)全廃条約を結ぼうというきっかけは、1986年4月のチェルノブイリ原発事故だった。 この事故はソ連が抱えた問題を露呈させ、原子力エネルギーと核兵器が持つ破壊的潜在力を思い出させた。 核兵器を何とかしなければと考えさせる教訓となった。 事故の翌月には呼びかけ、10月、アイスランドのレイキャビクでレーガン米大統領と首脳会談を行い、1987年12月米国との中距離核戦力(INF)全廃条約に署名した。

 「2度目の広島を誰も望んではいけない、と思います。核戦力の90%を持つ超大国は、核廃絶に責任を持って取り組む――。それを世界の世論に請け負わなくてはならない。ロシアは今もその用意があります」「核戦争は許しがたい。それを始められるのは理性のない人間だけです。」「私は最近、ノーベル平和賞の受賞者たちに書簡を送り、核大国の指導者たちに訴えるよう呼びかけました。核の削減と撤廃の交渉に戻るように、と。核抑止論に立って、『核兵器は戦争から世界を守る』と核をほめちぎる専門家がいます。でも、少なくとも一度は世界を自滅寸前にしました。62年のキューバ危機です。これを忘れてはなりません」

 「冷戦終結の象徴」といわれ、核削減の第一歩だった、射程500~5500キロのミサイルをなくす中距離核戦力(INF)全廃条約は、2019年8月2日に失効した。 ゴルバチョフさんは言う、「条約の理念を思い起こしてほしい。ジュネーブでの最初の米ソ首脳会談(1985年11月)の共同声明に反映されています。『核戦争は許されない、そこに勝者はありえない』と。核兵器から解放される。これは今も私の祈りです」「この条約に続いて米ソ両国は核依存を減らす方向へと、軍事ドクトリンを見直しました。冷戦のピーク時と比べ核保有量は80%以上減った。東欧も西欧も軍事力を削減しました。冷戦終結の結果、みんなが手にした『平和の配当』だったのです」

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