「熱燗」「霜柱」の句会、多彩な収穫2010/12/17 06:57

 「熱燗」と「霜柱」の句会で、私が選句したのは、つぎの七句だった。

ちよつと踏みめちやめちやに踏み霜柱  英

小石深く沈めてゐたり霜柱       和子

朝刊のことりと届き霜柱        さえ

熱燗と父と煙草と長火鉢        ひろし

熱燗や学童疎開の話から        やすし

熱燗と共に消えゆく憤り        梓渕

熱燗に舌焼かれをり黙(もだ)しをり  良

 ほかに、主宰選にも入り、人気のあった句は、

熱燗や嘘でよい嘘ならぬ嘘       ひろし

熱燗やちよつぴり嘘のある話      梓渕

熱燗や商店街は暗くなり        やすし

熱燗や屋台のベンチ譲りあい      松子

霜柱地下宮殿を築きたる        良

峠越えれば霜柱融けてをり       良

いつまでの売地や霜柱立ちて      なな

くずほれてあえかに光る霜柱      華

 主宰の選評。 「熱燗」と「霜柱」、着想が、いかにもというのでは面白くな い。 固定観念が入らないように。 それでいて、奇を衒うと、おかしくなっ て、難しい。 経験のファイルから引き出すことで、リアリティを持たすと、 思わぬ深さに達することがある。 〈熱燗やちよつぴり嘘のある話〉…静かな 怒り。 〈熱燗や商店街は暗くなり〉…商店街の外れに近いケチな食堂、6時 半から8時頃の微妙な時間。 〈霜柱地下宮殿を築きたる〉…空想の面白さ、 瑠璃玻璃の宮殿を透視した、主観の写生。

 主宰吟から、

コッヘルにつきし熱燗とびつきり

    熱燗に高倉健を気取るかな

熱燗に今日の釣果を嘆きあひ