「青田」と「百合」の句会2008/07/13 06:18

 10日は「夏潮」渋谷句会だった。 兼題は「青田」と「百合」、つぎの七句 を出した。

 婚礼に帰る車窓の青田かな

 みちのくの人一人なき青田かな

 見はるかす限りの青田鳥海山

 小諸なる俳諧田圃青々と

 山百合や沖の小島に漕ぎ寄せる

 八丈の為朝百合の武張かりて

 百合の香にくらくらとする昼下り

 〈婚礼に帰る〉と〈みちのくの〉を英主宰に、〈見はるかす〉と〈八丈の〉を 耕一さんに、〈山百合や〉を良さんに採ってもらった。 計5票、最近では、 まずまずの成績といえよう。 主宰の選評、〈婚礼に帰る〉の句、省略が効いて いる、これで通じる、都会に出ていて親類の婚礼に故郷に帰るという近代日本 のある人生を詠んでいる。 〈みちのくの〉は、昔「白河以北一山百文」など といわれた「みちのく」の、一種寂しい感じをよく詠めている、と。 過褒と いうべきだろうが、嬉しかった。

 〈山百合や沖の小島に漕ぎ寄せる〉は、子供の頃、よく行った西伊豆の三津 浜にある淡島にボートで漕ぎ寄せたこと、〈八丈の為朝百合の武張かりて〉は、 父が八丈島から貰ってきた為朝百合を毎年咲かせていた、個人的思い出につな がっている。 どちらも「百合」の題であれこれ考えているうちに、浮んでき たものだが、私にとっては貴重な情景である。