鯉昇の「質屋庫」 ― 2009/11/07 00:16
先日静岡で震度5の地震があった。 鯉昇が静岡出身というのは、前にも聞 いたことがある。 お城の石垣が崩れた。 近年、予算をつけ、現在の技術の 粋を尽して、修復したところだけが崩れた。 昔からの部分は、崩れなかった。 骨が丈夫になる薬というのを宣伝している。 あれは、いつ結果が分かるの だろうか。 骨上げの時に分かる。 鯉昇が頬骨の張ったあの顔で、表情を変 えずに言う、こういうくすぐりが、たまらなく可笑しい。 鯉昇は好きだ。 師匠(先代春風亭小柳枝)のところに住み込んで、庭の草取りをした。 食 べられる草と、食べられない草を覚えた。 季節になると質屋へ使いに行き、 着物(寄席の衣装)を入れ替える。 利上げをして、流さない。
「質屋庫(くら)」、質屋の三番庫にお化けが出ると、銭湯で噂になっている。 主が番頭に、前の離れの座敷で寝ずの番をして確かめてくれと頼むと、お暇を 頂きたいという。 では強そうな人をつけようと、出入りの熊さんを、小僧の 貞吉が呼びに行く。 旦那が呼んでいるというので、叱言かと思った熊さん、 先にお店の酒や沢庵を樽ごとちょろまかした話を白状してしまう(ここがとて も面白いが、略)。 強そうなといわれて熊さん、彫り物自慢で強がり、右手に は昇り龍、左手には降り龍、背中には訳あって三毛猫、などという。 雨漏り、 泥棒ならというが、お化けには弱かった。 それでもやむなく、二人で寝ずの 番。 料理が出ていて、箸がないのを紐で結び合った二人で取りに戻ったりす る。 せっかくの刺身の味が、ぜんぜんわからない。
丑満時、二人がこっくりしていると、乾の方角に火の塊がポッと出て、腰、 抜けましておめでとう。 相撲太鼓が鳴り、行司が「釈迦ヶ岳、釈迦ヶ岳、小 柳、小柳」と呼び上げる。 相撲の羽織と、まわしを預かっているのだ。 小 箱の蓋が開いて、掛軸がするすると立ち上がる。 「東風吹かばにほひおこせ よ梅の花主なしとて春を忘るな」と菅原道真公の登場。 掛軸は横丁の藤原様 の質草だった。 「番頭、横丁の藤原に言って、利上げをするように。 また 流されると困る」
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