喬太郎の「転失気」2010/07/28 06:51

 前座噺の「転失気」を、喬太郎は爆笑ものにして見せた。 力量のあるとこ ろを示したと言ってよいだろう。 知らないってことが言えない人がいる、特 に偉い人、権威のある人にそれがある。 実は「転失気」、芥川龍之介が好んで 描いたような人間の深層をえぐる心理劇だったのだ。

 およその噺は、2008年3月に柳家ほたるが演ったのが、下記にある。

http://kbaba.asablo.jp/blog/2008/04/01/2914545

 喬太郎の和尚は、小僧の珍念に問い詰められる都度、「喝――ツ、心に油断が ある」と怒鳴りつける。 「てんしき」を借りに来られた門前の花屋、テンプ ラ包む風呂敷なら大小ある、女房は手が真黒になると言う、釜敷きかと。 結 局、床の間の置物で、褒めた田舎の親戚に土産に持たせた、と。 門前の石屋 は「故陸軍歩兵上等兵」と彫っているところだったが(テレビだと意味がわか らないと喬太郎)、石屋のおっかあ「ニャオニャオ」歌う、「劇団四季」かと思 った。 さらには最近体温測っていない、「オギノ式」と間違える。 「てんし き」二つあったが、床の間に飾っておいたのはネズミが落として壊し、もう一 つはおつけの実にして食べちゃった。

 医者で尋ねて『傷寒論』にあるオナラと知った珍念、青天の霹靂だ、味噌汁 のレシピが知りたい、和尚は知らないんだ、嘘を言ってみよう、完全犯罪の成 立だ、あの寺は俺のものだ、あのジジイ、私の心に悪魔が宿りました、となる。  和尚には「盃」と答える。 「天に口」酒を呑む器「呑酒器」と思い込んだ和 尚、おつけの実も「イカトックリ」ならと考える。 再診の医者に、私は「て んしき」が大好きで、当寺には伝わること十三代、自慢の「てんしき」がある、 と見せる。 桐の箱に入った、三つ組の方。

 ついにことが顕れ、「喝――ツ、珍念、嘘をついて、なんとも思わんか」「屁 とも思いません」

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