「いとこ煮」「ぜんざい」「しるこ」考2010/09/15 06:35

 13日放送のNHKテレビ1「鶴瓶の家族に乾杯」は、デザイナーのコシノヒ ロコさんと山口県の萩に行っていた。 萩の城下町は、去年の秋、歩いて来た から、見覚えのある通りなども出て来た。 コシノヒロコさんが、萩焼の作家 さんの所で、念願の陶芸を試みた後、土地の美味しいものと尋ねて、紹介され た小料理屋さんで「いとこ煮」なるものを食した。 「ぜんざい」のようなも のだが、紅白の餅と、椎茸が入っていて、その椎茸と昆布(?)の出汁の味が ついている。 底には小豆が見えたので、案の定、「甘い」ということだった。  昨年の旅行では、もうすぐ日本海という松本川の河口近く、雁嶋(がんじま) 別荘というところで昼食をしたが、デザートはコーヒー・ゼリーだったような 記憶がある。

 伊藤礼さんの『自転車ぎこぎこ』に、「ぜんざい」が出て来る。 それを思い 出したのは、場所が島根県の出雲と近いからである。 伊藤さんも、ある事情 で、萩から出雲に行くことになった。 そして「ぜんざい」の発祥の地が、出 雲だと知るのである。 出雲大社の前には、ぜんざい屋が何軒もあって、「日本 ぜんざい学会一号店」というのまである。 そこで注文した「出雲ぜんざい」 は、地元産の大納言の煮汁の中に紅白の白玉餅が入っている。 なかなか美味 しい。 残念なのは上品なおわんにすこしだけ入っているから、もうすこし食 べたくなるが、おわん一杯で五百円だから、そう何杯も食べるわけにはいかな い、とある。

 私は「ぜんざい」の発祥の地は、漠然と、大阪は法善寺横丁の辺りかと思っ ていた。 そういえば、「ぜんざい」と「しるこ」は、どう区別するのだろう、 などと考える。 『広辞苑』を見る。 ぜんざい【善哉】「関西では、つぶし餡 (あん)の汁粉。関東では、粟餅・道明寺餅・白玉餅などに濃い餡をかけたも の。善哉餅に同じ」 しるこ【汁粉】「小豆の餡を水でのばし、餅または白玉な どを入れたもの。漉餡(こしあん)のものと粒餡のものとがある。」

 ここで注意を要するのは「つぶし餡」、「粒餡」、「漉餡」の相違である。 つ ぶしあん【潰し餡】「小豆を煮て、すりつぶして製したあん。」 つぶあん【粒 餡】「小豆などをゆでて、粒のまま、皮を取り去らずに砂糖を混ぜて煮て練った 餡。」 こしあん【漉餡】「小豆などをゆでて漉し、皮を取り去った後、砂糖を 混ぜて煮て練った餡。」

ついでに「いとこ煮」は、『明鏡』によれば「従兄弟煮」、「小豆・ごぼう・芋・ 大根などを、煮えにくいものから順々に入れて煮込み、醤油または味噌で味を つけた料理。 おいおい(甥々)めいめい(姪々)に煮るの洒落からという」