伊藤正雄さんのこと〔昔、書いた福沢32〕 ― 2019/03/12 07:08
等々力短信 126 1978(昭和53).9.25.
9月16日に交詢社で行われた福沢諭吉協会の土曜セミナーで、スピーカー の桑原三郎さんから「7月に甲南大学の伊藤正雄教授が亡くなられた」と聞い て、がっかりした。
慶應義塾の外にあって、国語、国文学という専門から福沢諭吉研究に入られ た伊藤正雄先生は、この分野でも立派な業績を残された。 その一冊、昭和33 (1958)年慶應義塾創立百年の年に毎日新聞社から刊行された『福沢諭吉入門 ―その言葉と解説』によって、私(高校2年生)は福沢諭吉という人物に出会 った。 伊藤先生や小泉信三さんがいなければ、私も多くの塾生と同じように 「何を今さら福沢か」と思いつづけていたかもしれない。
伊藤先生は福沢という巨人の全貌をなんとか現代人に伝えたいと努力され、 前記の『入門』をはじめ、口語訳の『学問のすすめ』(教養文庫)と『文明論之 概略』(慶應通信刊)を世に問われている。
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