『がんを生きる新常識』2019/03/13 07:24

 今日は〔昔、書いた福沢〕シリーズを、ちょっとお休みして…。  7時半からのBSプレミアムで見ている朝ドラの『まんぷく』に続く15分番 組、先日は『がんを生きる新常識』のシリーズがあった。 年間百万人が「が ん」にかかるから、お医者さんにも「がん」にかかる人がいて、その時、お医 者さん自身はどう対処するのかを、扱っていた。

実は、子供の頃から駄洒落を言い合って、クッククックと笑い合ってきた、 古希の弟が先日、ごく初期の前立腺がんと診断され、ダ・ビンチによる手術を 受けて、無事成功した。 術後、多少の尿漏れは避け難く、しばらくはアテン トの世話になるというので、退院を祝して一句贈った。 <水温む弟アテント 当てんとす>

 ダ・ビンチという器械と、ダ・ビンチによる手術風景は、2001年、福沢諭吉 没後100年記念の『世紀をつらぬく福沢諭吉』展の、「サイアンスの視点」の コーナーで見て、強く印象に残っていた。 図録の解説に、こうある。  「内視鏡の開発は1806(文化3)年、ボツィーニ(Bozzini)によるロウソ クと反射鏡を用いた膀胱鏡の試みにはじまるとされる。福澤諭吉は「医術の進 歩」の中で内視鏡に興味を示し「視学の器機次第に巧を増すに従て、漸く内部 を窺ふの区域を増し、子宮、直腸、又は膀胱、胃の裏面の如きは、恰も口中を 見ると一般にして」と記している。胃の内視鏡は1868(慶応4)年、鉄砲洲か ら芝新銭座に塾を移して慶應義塾と称した年に、クスマウル(Kussmaul)に よって行われた。その後レンズと光源の改良や、先端が可動する器具の登場を へて、フレキシブルで同時に病変の写真撮影ができる内視鏡が1950年代に日 本で開発されている。当初は写真撮影のみが可能であったが、その後内視鏡に よって手術もふくむ診療までが可能になり、体内のさまざまな領域へ応用が進 められてきた。」  「慶應義塾大学医学部外科学教室では2000(平成12)年に手術支援ロボッ ト「ダ・ビンチ(da Vinci)」の臨床応用も開始した。3次元空間に存在する物 体が動く自由度は、並進3、回転3の合計6自由度がある。通常、鉗子は腹部 に設置した器具を支点に動くため、4自由度に制限されているが「ダ・ビンチ」 は6自由度を有するとともに、3次元のモニター上でよりスムーズに臨場感の ある遠隔操作を可能にした。」

 『がんを生きる新常識』では、ダ・ビンチによる前立腺手術の映像が流れた。  「ダ・ビンチ」の手の数は、2001(平成13)年の図録の写真より多くなって、 タコの足のようになっていた。 さらに前立腺がんの治療では、東海大学八王 子病院の高密度焦点式の超音波で焼き切る方法も紹介していた。 その図で、 前立腺がどこにあるかも、よくわかった。 短期、低侵襲で処置できるが、保 険適用外なので、90万円ほどかかるという。

 がんは、早期発見が何より大切だが、内視鏡や針を使って腫瘍組織を採取す る従来の生検(バイオプシー)に代わって、血液検査で診断や治療予測をする 「リキッド・バイオプシー」の研究も進んでいるそうだ。 「がん」の治療法 も、従来の手術、抗がん剤、放射線のほかに、第四の免疫療法や、第五のウイ ルス療法の研究(東京大学医科学研究所先端医療研究センター、藤堂具紀教授 など)も進んでいるという。

番組では一方、「がん」になったお医者さんが、あれこれ新しい治療法を探し、 右往左往して落ち込み、家族の支えで、復活する姿や、笑って明るく「がんを 生きる」ことに抜群の効果があり、ステージ4からフルマラソン、人工肛門(ス トーマ)でもフルマラソンという歯科医師なども、紹介した。 がんサバイバ ーが、職場や社会に復帰できるよう支援するために、全国行脚の活動をしてい るがんサバイバー・クラブ垣添忠生さんという方もいた。