令和三年『夏潮』「雑詠」掲載句2022/01/01 07:49

 明けましておめでとうございます。 昨年の元旦は、俳誌『夏潮』令和三年一月号、本井英主宰選「雑詠」の「巻頭」に拙句が掲載されたので、大喜びして令和二年「雑詠」掲載句を出した。 それをまた出すことになるが、令和三年の『夏潮』「雑詠」掲載句をご覧いただくことにしたい。
   一月号
残りページ気にしつつ読む良夜かな
浮き上がる一面の白蕎麦の花
クラシックホテルの庭の良夜かな
お隣につい声掛ける良夜かな
   二月号
庭園に足場を組みて松手入
レストラン更地になりてマスク落つ
もういくつ寝ると死ぬのか暮の秋
   三月号
サーカスのテントの上に銀杏散る
銀杏散る聖徳記念絵画館
切干のにほひ南の日溜りに
   四月号
新年の参賀も中止浮寝鳥
廃校は門だけ残し冬ざるる
   五月号
初場所は親孝行が押しに押し
出出しからスロー人生絵双六
   新年誌上句会
春一番さらりコロナを吹き払へ
   六月号
僧徒さへ武器取りし世も比叡雪
ぼつてりと咲く紅梅や大年増
   七月号
糸桜万燈のごと開きをり
コックスを投げ込む音や水温む
   八月号
駐在の家庭菜園花大根
大根の花薬師寺の塔望む
蛙鳴き雨降り出して昭和の日
   九月号
蝦蛄どさり何もないがと茹でてくれ
縄文の村外れ余花ちらちらと
   十月号
昼顔の道を毎日通り抜け
昼顔や海へと下る崖の道
七十六年摩文仁の丘に夏の雨
   十一月号
梅雨空や知の巨人とは同い年
終バスへ夕菅の野を急ぎけり
団十郎二日休んで今朝咲いて
   十二月号
蚊遣香焚いて換気をいたしをり
カナヘビの卵の孵る刹那かな
今朝の秋おかげさまにて生かされて