桂竹千代の「千早ふる」2023/02/03 07:02

 この冬一番の寒波が列島を襲った1月25日は、第655回落語研究会だった。 今回も抽選に当たって、出かけた。

「千早ふる」         桂 竹千代

「いかけや」 入船亭小辰改メ 入船亭 扇橋

「金明竹」          立川 談笑

        仲入

「擬宝珠」          桂 文治

「二番煎じ」         柳家 権太楼

 桂竹千代、一つだけお願いがある、笑って下さい、と始めた。 コロナで一番客の少なかった時は一人、一対一、面接だ。 正面でなく端に座ったので、そっちを向いてやっていたら、その人のケータイが鳴った。 切るかと思ったら、切らずに、出て行く時、やっててくれ、と。 ご免、ご免、と戻って来て、さっきの続きからどうぞ。 今日は、その200倍くらいの入り。

 十人十色、気持が違う。 知ったかぶりをする人がいる、物識りだと。 先生はいつも、聞くは一時の恥、聞かぬは松茸の味って言う。 何でも聞け。 娘が学校の帰りに、友達と遊びをする、一人が何とかーーーッて読んで、はい、ありました、って札を取る、百人いっしょ。 中に一人いい男がいましたね、何という名でしたか? あれか、実物がいい男だ、飲みに行って会ったことがある。 名前は? ここに書いて来た。 ナントカカントカだ、聞く方が野暮。

 (札を出して、)歌のワケを教えて下さい。 ラララララ ララララララ ラララララ ランラララララ ランラララララだ、そのへんに這いつくばっている毛虫も知ってる。 娘が歌のワケを教えてくれってんで、今床屋に行くから、帰ってきたら教えてやるって出て来た。 聞きに来るんなら、前もって手紙か、電報、伝書鳩で知らせて来い。 さっき何でも聞けって言ったじゃないですか、歌のワケを教えて下さい。 千早ふるネ、神代もきかずネ、竜田川ネ、からくれないにネ、水くぐるとはネ、だな。 そのまま読んだだけじゃないですか。 順番にいけばいい、千早ふるだな。 神代もきかずだ。 竜田川だな。 からくれないにだ。 水くぐるとはだな。 バラバラに読んだだけ、ワケを教えて。 (拍手しながら、節をつけて歌う)千早ふる、神代もきかず竜田川、神田川、隅田川。 ワケを教えて下さい。

 唐揚げの衣だ、竜田揚げの衣だ、古代中国に元になる話がある。 唐揚げにレモンをかける奴は、どうかと思う。 子供の頃、あのレモンで目つぶしされたことがある。 あるお役所の打ち上げ、伝説の古代中国唐揚げ専門店、登場人物は4人、上司とその奥さん・千早、奥さんの友達・神代、それに部下。 上司は、唐揚げにレモンをかけるのが嫌いだが、部下がレモンをかけてしまう。 千早は、机の下で唐揚げを振って、レモンを飛ばす。 神代に頼んで、部下にレモンをかけないように言ってもらうが、言葉が通じない、部下はネパール人。 どんどん出て来る唐揚げにレモンをかける。 千早、唐揚げを便所に持って行って、水をぶっかけた。 ビチョビチョ、不味い、結局、怒られた。

 こういう話だ。 それが歌のワケ。 千早振る、神代もきかず、竜田揚げの皮、(お預けになって)唐揚げくれない、(水をかけて)水くぐるとは、だ。 古代中国から、伝わって来た。

 とは、って何です? かけた水が十和田湖の水だ、みなまで聞くな。 今、思いついたような顔だ。 細かいことは、レモン汁が飛ぶから、目をつぶりなさい。

 桂竹千代の「千早ふる」、何だ、こりゃあ、という「千早ふる」だった。

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