「迷い、考えること」を楽しむ日本唯一の「哲学」の博物館 ― 2023/10/22 07:38
12日、福澤諭吉協会の第51回福澤史蹟見学会「慶應義塾と金沢」の二日目。 ホテルを出発、東山から大窪さんの地元「鳴和(なるわ)」を通る。 「鳴和」の名は、安宅の関を抜けた義経、弁慶が鳴和の滝のところで酒宴を開き、弁慶が「これなる山水の、落ちて巌に響くこそ、鳴るは瀧の水」と舞ったこと(謡曲「安宅」)から来ているのだそうだ、由緒ある地名だ。 松井秀喜、本田圭佑を出した星稜高校の横を通り、能登半島の付け根、日本海に沿った道は工事で予定の内灘大橋を通れなかったので、山側の道を「津端町民の誓」の河北郡津端町を通って、かほく市の石川県西田幾多郎記念哲学館へ。
バスで正面玄関に着いてしまったので経験できなかったが、表の国道から思索の道や哲学の杜を抜けて、階段庭園を経て(エレベーターもある)、高みにある建物に達する経路と配置になっているらしい。 浅見洋館長が出迎えて下さる。 安藤忠雄設計の打ちっぱなしコンクリートとガラスの建物は、鳥取砂丘に匹敵するという金沢から続く内灘砂丘の上、絶好のロケーションに建っている。 目の前に、白砂青松の日本海、河北潟を干拓したという平野が広がり、町並みの先、反対側の低山には西田幾多郎の生誕地、その背後には白山連峰から立山連峰までのパノラマを望める。 内灘砂丘は、1952(昭和27)年~53(昭和28)年の米軍試射場反対闘争で記憶していた。
建物内部は、まるで迷路(ラビリンス)のように入り組み、入館案内に「来館者は、そこで迷い、行き先を自ら考えることになります。どうか『迷い、考えること』をお楽しみください。」とある。 研修棟の円筒状の吹き抜けは、「ホワイエ」という瞑想空間、コンクリ打ちっぱなしの壁に面して、座禅の会や、子供たちと「どう生きるのか」の対話が行われるという。 そう、ここは日本で唯一の「哲学」の博物館なのだ。 入館案内に、こうある。 「哲学とは、『知ることを愛する』ということ。それは、情報を増やすことではありません。哲学は、自ら、迷い、考え、真実を追い求めることです。すぐに分かる必要はありません。(中略)自分で歩き、立ち止まり、また来た道を戻ってください。すぐに答えを求めず、考えながら、ゆっくりと。」
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