社会学研究50年の精華 ― 2007/04/06 07:11

3月31日、三田に「復活!慶應義塾の名講義」vol.11、山岸健名誉教授の「旅 と人間と風景~日常生活と人生をめぐって」を聴きに行った。 1934年新潟県 長岡市生れ、57年文学部を卒業し、76年に文学部教授(私はまったく存じ上 げなかった)、99年の定年後大妻女子大学で人間関係学部の確立にあたられた という。 研究領域は、社会学の理論と学説、社会学的人間学、文化社会学、 生活空間論、都市論、絵画論、旅の社会学と人間学だそうだ。 この日が大妻 女子大退職の日で、教授人生集大成、文字通りの最終講義となった。
資料がすごかった。 B4判の手書きコピー3枚、印刷物のコピー4枚の計7 枚に、強調する意味で、講義中に追加の手書きコピー1枚を配布された。 ほ かに論文の抜き刷りも二編いただいた。 今時、珍しい「手書き」は、一点一 画をおろそかにしない書体、先生の描かれたアネモネの絵も添えられ、お人柄 を如実に物語っている。
50年にわたる社会学研究の成果としてのモチーフ(中心思想)は、一点か、 二点にしぼられる、とおっしゃる。 そんなエッセンスを聴いていいのか、と 思う。 私が聴いて理解した範囲だから、不確かだが…。 一つは、「汝自身を 知れ」というデルポイの神殿の銘。 もう一つは「人生に意味を」(サン=テグジュペリ)、フランス語 の「サンス SENS」という言葉=(1)感覚・意味、(2)方向。 人間はだれ もが人生の旅人である。 人生を生きる(旅する)私たちは、人生をどのよう に方向づけ、意味づけていくかが、重要である。 いいかえれば、人生をどの ように生きるか、という問題だ。 人間とは、身体である。 しかも意味なの である。 人間とは、おのれ自身ではないところのものによって、サポートさ れ(支えられ)つづけ、意味づけられ、方向づけられている存在である。 人 間とは、人間と人間であり、人間関係、シップ(リレーションシップ、メンバ ーシップ、フレンドシップ……)そのもの。
わからないながらに、意外にシンプルで、それでいて深い、のだった。
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