佐藤江梨子の「わたしの藤沢周平」2007/04/14 08:07

 BS2に各界名士が語る「わたしの藤沢周平」という番組がある。 「週刊ブ ックレビュー」の前の時間にも流している。 8日、佐藤江梨子が登場し、「雪 明かり」(『時雨のあと』所収)について語っていた。 山田洋次監督が、藤沢 周平三部作の二番目の映画『隠し剣 鬼の爪』で、重要な材料に使った作品であ る。 雪降る町で偶然会うことから始まる、上士の家に養子にいった菊四郎と、 貧しい実家の義理の妹由乃との物語だ。

 「サトエリ」は、藤沢作品では一秒一秒が長く、日本だけのにおい、こげく さい、土(つち)くさい、日本の根っこのにおいがある、という。 「雪明か り」には、起承転結喜怒哀楽がまとまっている他の藤沢作品とちがう、雪のほ わっと落ちて来るような独特の「浮遊感」がある。 本当のところは、本当の 気持は言っちゃあいけないんだよ、というところで、二人はうごめいている。  「好き」という感情は出さないのに、お互いに想っているのが、すごく伝わる。  やっと菊四郎が言った言葉が「跳べ」だった。 とても不思議なんだけど、と ても幸せ。 本当に伝えたい言葉は、心から出た言葉だけなんだ、と「サトエ リ」は語った。