交詢社版『日本紳士録』の休刊2007/04/27 08:24

「等々力短信」第974号に『交詢社の百二十五年』を書いたら、友人から「先 日『日本紳士録』が、個人情報保護法のために廃刊になるという報道があり、 「発行は交詢社」とありました。“この”交詢社でしょうか」という質問をいた だいた。 分厚い交詢社版『日本紳士録』は、会社をやっていた時、その古い 版があったので、何かの折には見ていたものだ。 

 交詢社版『日本紳士録』は、福沢が関係した“この”交詢社が明治22年6 月第1版を発行した後、長く版を重ねていたが、1971年(昭和46年)に財団 法人交詢社から株式会社交詢社出版局という会社が業務を引き継いで、今日に 至っていた。 その間のくわしい事情はわからないが、権利を譲渡したのだろ う。 株式会社交詢社出版局は現在、新宿区西五軒町にある。

株式会社交詢社出版局は、4月19日付の「休刊のお知らせ」で、書籍とし ての『日本紳士録』はその使命を果たし終えたものと判断せざるをえないので、 今回の第80版を最終版とすることを発表した。 その理由として「我が国で 最も古い歴史を持つ人名録として、永年にわたり各方面からのご支持をいただ いてまいりましたが、一方では伝統と権威のある交詢社版であるがゆえに、い わゆる「紳士録商法」に悪用されるなど、創刊時には思いもよらなかった事態 に巻き込まれ、強い憤りを覚えることもありました。また、平成17年の個人 情報保護法の施行を境に本書をとりまく環境が大きく変化したことはご承知の とおりですが、インターネットの急速な普及により、Web上での人事データベ ース・サービスも著しく進展してまいりました」と述べている。