轟亭の小人閑居日記 　　　馬場紘二

　19日にBS2で放送された井上ひさしさんの「百年インタビュー」を見た。　 聞き手は堀尾正明アナ。　「百年インタビュー」の目ざすのは、「百年後の人々 にも残しておきたい言葉がある」ということなのだそうだ。

　インタビューの最後で、これからの仕事を聞かれて、井上ひさしさんは、日 本国憲法の問題が一番気がかりだ、と言った。　あれで育ってきた。　この60 年間、日本国民の名前で他国の人を殺していない。　戦争という形で、人が死 んでいない（いるかもしれないけれど）。　だから、憲法が変わるのを見て、死 にたくない。　あの戦争って何だったんだろう、誰が得をしたのだろうか、そ れを書き続けるしかない、と井上さんは言った。

　百年後の人に呼びかける「おまけ」があった。　井上さんは「百年後の皆さ ん、お元気ですか。　この百年に、戦争はあったでしょうか。　地球の上に暮 らす人間が、いなくなっていないでしょうか」と問いかけ、「とてもよい地球を、 とてもよい世界を、お渡しできるように、百年前のわれわれもがんばります」 と、結んだ。