堀文子さんの好奇心と挑戦2007/10/10 07:45

 2005.5.15.の日記に三岸節子さんのことを書いた。 「女流油絵画家の先駆 者、華やかな《花の絵(静物画)》の画家として確立された立場がありながら、 1968(昭和43)年に黄太郎一家とともに再渡仏、《風景画》に挑戦するため南仏 カーニュに居を構えたのは、なんと63歳の時だった。」 洋画と日本画の違い こそあれ、堀文子さんにも共通するところがある。 大磯に住んでいるのもそ うだが、《花の絵》の画家として確立された立場がありながら、それを突き破っ て、海外に出かけるのだ。 堀文子さんは70歳を目前にした1987年、イタリ ア中部トスカーナ地方の古い町に移住、5年間ただひたすらに描く日々を過す。  やわらかな色彩の「アンギャリ 夕映え」(1990年)は、私の好みの素敵な絵だ。  77歳で南米の旅に出、「アンデスの巫女」(2001年)など土着文化の色濃い作 品を描く。 さらにはヒマラヤにも出かけ「ヒマラヤ孤絶の花ブルーポピー」 (2007年)を描いた。 年を取ってからの、その挑戦と冒険心には、感心する ほかない。

 堀文子さんの関心は、草花の細かい観察から、蝉の脱け殻や蜘蛛の巣、顕微 鏡下の微生物にまで及ぶ。 「新日曜美術館」には、ミジンコ愛好家のサック ス奏者・坂田明さん(広島大学生物生産学部海洋学研究室卒だそうだ)も登場、 ミジンコを提げて大磯のアトリエにやって来る。