雲助の「宿屋の富」2008/02/03 08:03

 一月の落語研究会も、あと一人になったので、もう少しのご辛抱を。 トリ の五街道雲助も「そのくらいの辛抱ができなければ、人間、どこに行ってもダ メ」と言った。  「宿屋の富」、きたない宿屋に泊まりたいなぁ、と思っていたという男がやっ てくる。 奉公人が800人、身の回りの世話をするのが30人、はばかりに行 こうとしても、紙をもみながら、ついてくる。 こんな暮しはいやだと言った ら、五番番頭が「旅に出ろ」と。 粗末に扱ってもらうと、せいせいするので、 よろしく。 「ご商売は?」と聞けば、「ない」、先祖が大の大の働き者で、蔵 に金がいっぱいある。 商人に一万両、大名に二万両と、貸すのはいいが、利 息がつくのは弱る。 こないだも八番番頭が、庭に離れが出来たというので、 見に行ったが、五日たってもまだ着かない、もう五日かかるというから、その まんま帰ってきた、いまだに見ていない。

 宿の主は、この男に内職の富の札を売る。 一分、小判より使ったことがな いという男は、袂の隅からなけなしの一分金のガク(「ガク」は額、額銀の略。 天保一分銀の俗称で、形が額面に似ているところから、そう呼んだという。以 前、権太楼の「大工調べ」で調べた)を出す。 当たるはずがないから、当た ったら、宿の主に半分やるという。 千両が、今のいくらか、雲助は一両が7 ~10万円だから、一億円ぐらい、それも物の安かった頃の一億円、だという。

湯島天神の富。 当たったら、どうする連中。 白縮緬を一反、京に染めに 出し、大きな財布をつくって入れる、という奴。 二番富でいいという若い男 は、吉原へひやかしに行き、五百両放り出す。 女を身請けして、世帯を持つ。  お湯に行く。 お膳の上にはお銚子、さしみ、てんぷら、うなぎ、卵焼きが乗 っている。 肩に手をやると、昼間っから、ダメよ。 お前もどうだ、一杯だ け、呑むとおいしいわ、もう、寝ましょうよ。 起きると、朝湯に行く。 以 下は、リフレイン。

 雲助、この滑稽噺を楽しそうに演じ、聴いているみんなも楽しくなったので あった。