「バレンタイン」と「海苔」の句会2008/02/17 07:44

 2月14日はバレンタイン・デー、この日あった「夏潮」渋谷句会も、兼題は 「バレンタイン」と「海苔」だった。 「バレンタイン・デー」「バレンタイン の日」とすると8字、あと使える字数が少なくなる。 なかなか難しい題なの だった。 出した句は、

 切なさの凝り固まりてバレンタイン

 バレンタイン言ひ出し難きことのあり

 バレンタイン少女正(まさ)しく女なり

 海苔買ふや梅が印の老舗にて

 海苔篊(ひび)に貼り付いてゐる夫婦舟

 岩海苔や一村総出の朝晴れて

 江戸っ子の歯切れのよさよ海苔あぶる

 結果、「バレンタイン」は案の定というか「言ひ出し難き」と「少女正(まさ) しく」の各1票だけだったが、「海苔」に思わぬ票が入った。 「夫婦舟」「一 村総出」「江戸っ子」に各3票で、合計11票、日頃鳴かず飛ばずが多いから、 望外の好成績になった。 主宰の選は、「夫婦舟」だけだったが…。

 本井英主宰の選評。 「バレンタイン・デー」、鳥が恋の季節を迎えるのとも 関係している。 俳句にするのに、いかに格を保てるかが、問題。 人の心を 詠むと「川柳」になってしまう。 俳句は、あくまでも季節にこだわっている。  うすら寒いこの時季の季節感をどう詠むか。 「海苔」の場合も、「新海苔」と いうと11月になる。 「海苔」だけの季題だと、その春の気分をどう詠むか が、鍵になる。 このお話を伺って、あらためて、俳句は季節感を詠むものな のだと、深く反省、肝に銘じたのであった。