「察々の明は交際の法にあらず。」2022/12/03 07:05

 「察々の明は交際の法にあらず。/十人は十人、百人は百人、大瑕瑾(だいかきん)小瑕瑾、都(すべ)て疵(きず)持つの身にして、智徳言行の完全なる者とては、殆(ほと)んど一人もある可らず。/朋友を容(い)るゝの度量は、広くして聊(いささ)か漠然たるを要す。」                           (『福翁百話』五十九)

 「察々の明」とは、人間があまり明察にすぎて、相手の欠点や短所に気付いてしまうこと。「瑕瑾」は、疵(きず)、つまり欠点や短所。人と交わるには、なるべくその長所と交わるようにして、つとめてその欠点や短所は見ないようにすべきである。人おのおのには特徴があり、その特徴のどこかには必ず長所がある。そこだけを見るようにして交際すれば、相手も気持よく受け入れてくれるし、こちらも学ぶことが多い。