「超巨大噴火が“日本人”を生んだ!?」 ― 2026/05/05 07:12
NHK総合テレビに『タモリ山中伸弥の!?(#びっくりはてな)』という番組があって、だいぶ前(1月10日)に「世界も大注目“日本人らしさ”」の原因をさぐっていた。 吉岡里帆が加わり、吉村崇(ノブシコブシ)が司会する。 “日本人らしさ”として、礼儀正しさ、丁寧、きれい好き、真面目、手先が器用、自然に対し敏感、協調性、空気を読み、助け合う、などを挙げていた。 AIで調べると、沢山出るのが、控え目、誠実、真面目、四季を大切にする、礼儀正しい、勤勉、静かに笑う、争いを避ける、移ろいを受け入れる、時間に正確、慎ましい、忍耐強い、もったいない。
結論は、「超巨大噴火が“日本人”を生んだ!?」というものだった。 1万6千年~7千年前の縄文時代、薩摩硫黄島近くの海底で超巨大噴火が起こった。 神戸大学の巽好幸教授(マグマ学)、島伸和教授(地球物理学)らの研究によると、海底地形に直径20㎞の窪み、巨大な盛り上がり、平均高さ450m、直径約10㎞の世界最大の溶岩ドームが確認された。 「鬼界カルデラ」と呼ばれている。 マグマの噴出量は180㎦で、富士山0.7㎦、浅間山0.6㎦の250倍以上になる。 過去1万年間に起きた地球最大の噴火だという。
北東に700㎞離れた福井県の水月湖は、流れ込む大きな河川がなく、淡水と海水が掻き混ざらず、約7万年分の「年縞(ねんこう)」と呼ばれる湖底の堆積物が残る。 5㎝で80年に当たるが、超巨大噴火の3㎝、50年分の層が堆積している。 立命館大学の中川毅教授(古気候学)によると、層の中のヒノキの花粉の変化で、気候変動が起こったことがわかるという。 火山灰は、九州で48㎝、関東で1㎝、降った。 7300年前、マグマの噴出、400℃の火砕流が、九州を焼き尽くした。
日本海溝で、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが接し、太平洋プレートが日本列島の下に沈み込む。 そのため日本列島は、地球上で最も地震と火山が集中する「変動帯」にある。 全世界の7%が集中している、面積は0.3%なのに。
半蔵門ミュージアムの大日如来坐像 ― 2026/05/02 07:03
半蔵門ミュージアムというのは、運慶作と推定される大日如来坐像(重要文化財)を所蔵することになった仏教教団の真如苑が、仏教美術を中心とする所蔵の文化財を一般公開するためにつくった文化施設だ。 行ってみて、立派なビルなのに驚く。 受付で入場無料と聞き、つい昔広尾の真如苑の前に住んでいたと言ってしまった。 フランス大使館の公邸だったのを真如苑が手に入れ、熱心な信徒が大勢通って来て、周辺をきれいに掃除しているのを見ていた。
半蔵門ミュージアム、地下に展示室、1階にギャラリー、2階にラウンジやミュージアムショップ、そして3階にシアターがあり、ちょうど大日如来坐像についての解説を上映中というので、まずそれを観る。 大日如来坐像は、鎌倉時代前期に活躍した仏師運慶の作品と推定され、とくに運慶が文治5(1189)年に造った神奈川県横須賀市の浄楽寺阿弥陀三尊像と、「上げ底式内刳り」と呼ばれる技法や、運慶が時期を限って使った水晶やガラスの玉眼(ぎょくがん)でも、共通しているという。 「上げ底式内刳り」は、材料となる原木を像の形に彫り、それを刳(く)り抜いて、前面と後面に分割、最終的に張り合わせ、中に物を納め、上げ底で密閉する。 中に納めてあったのは、五輪塔形の木札や、仏像の魂といえる心月輪(水晶珠)だった。
その映画の「五輪塔形の木札」の解説で、昔のお墓や供養塔でよく見かける「五輪塔」の意味を初めて知った。 下から、四角、球、三角、半球、宝珠形になった石塔で、地、水、火、風、空を意味する。 改めて『広辞苑』を引くと、「五大にかたどった五つの部分からなる塔。下から地輪は方(四角)、水輪は球、火輪は三角、風輪は半球、空輪は宝珠形。平安中期頃から供養塔・墓塔として用いた。石造が多く、金銅・木・泥土などでも造った。五輪卒塔婆。」とあった。
半蔵門ミュージアム、ほかにガンダーラ仏伝浮彫、醍醐寺ゆかりの如意輪観音菩薩坐像などを常設、さらに曼荼羅、仏像、仏画、経典、絵巻などを定期的に入れ替えながら展示している。 折から『富士山 花と雲と湖と』展開催中で(5月10日まで)、横山大観、片岡球子、田崎廣助、川崎春彦、平松礼二、笹島喜平などの、いろいろな季節の「富士山」を見ることができた。(毎週月曜・火曜休館)
AIに代替され得ない人間の役割は何か ― 2026/04/30 07:06
「AI浸透「配転・人員減に影響」 活用前向きな企業2000社の半数近く」(朝日新聞27日朝刊)。 生成AI(人工知能)の広がりが働き方にどんな影響を及ぼすのか。 東京商工リサーチが約6300社を対象に行った調査で、AI活用に前向きな企業約2千社のうち半数近くが、今後5年で業務の効率化による「配置転換」や「従業員の抑制」を行う可能性があると回答した。 AIによる雇用への影響は、大企業のホワイトカラー層により大きく出るのではないか。 事務や企画などのオフィスワークをAIに代替させることで業務をスリム化し、その分の人材を営業力強化などに振り向けようとする動きも相次ぐ。
「防衛費増・AI活用 論点 安保3文書改定 有識者会議初会合」(朝日新聞28日朝刊)。 政府は27日、日本の外交・安全保障の基本方針となる国家安全保障戦略などの安保関連3文書の年内改定に向け、有識者会議の初会合を首相官邸で開いた。 高市早苗首相が掲げる「防衛力の抜本的強化」を進める狙いで、防衛費の増額やその財源のほか、ドローンやAI(人工知能)の防衛分野への活用などが主な論点となる。 ロシアのウクライナ侵略で注目を集めたドローンの使用やAIの活用といった「新しい戦い方」への対処や、武器の供給を絶やさずに戦闘を継続する「継続能力」の強化なども主な論点となる。
「AI活用で変わる戦争 人間の判断と責任 問い直しを」政治学者、谷口将紀さん(東京大学公共政策大学院長・教授)の『論壇時評』(朝日新聞29日朝刊)。 科学社会学者の横山広美は、完全自律兵器の開発や自国民監視といった「レッドライン」をめぐる攻防を描き、安全保障の領域では既存の規制が揺らぐ中で、技術開発者が倫理的な防波堤としての役割を担わざるを得ない現実を指摘する。(中央公論5月号) AIに代替され得ない人間の役割は何か。三菱総研の飯田正仁は、AIの進化が人間に残る役割をむしろ際立たせるとし、善悪の判断やプロセスの意味付けの重要性を強調する。(週刊エコノミスト4月14・21日合併号) 元人工知能学会長の松原仁もまた、AI時代の理想は人間の不要化ではなく、問いの設定や合意形成、責任の引き受けといった営みへと時間を振り向けることにあると説く。(Voice 5月号)
七つの時から、おさんどんをして料理を覚える ― 2026/04/24 07:03
後日、田ノ上ヨネ子が口述筆記に、北鎌倉を訪れる。 春子と使用人の松山(満島真之介)が迎え、どうかと聞く春子に腕と肩が筋肉痛だと言う。 いつもの部屋で待たされていると、魯山人が聞いているラジオの音がする。 ちょっと覗くと、魯山人は泣いていた。 「あんた、部屋を覗いたな、顔に出ている。」 「すみませんでした。」 「正直でよろしい、好奇心があるのもよろしい。」 「あんた、何が知りたい?」 「世間で、傍若無人、傲岸不遜と虫けらのように言われる北大路魯山人が、どのように出来たか、知りたいのです。」 「あんた、はっきりしていていいな。」
「生れは、京都上賀茂や、調べて知っているだろう。私は、捨て子や。父も母も知らん。房次郎という名前だけある。三つの時、真っ赤な躑躅(つつじ)を見て、美しいものを探すために生れてきたんだと思った。それから里親を何人か転々として、ようわからん。叱って棒で打つ、錯乱した中年女の醜い顔が目に浮かぶ。」
番組は、モノクロの小さな画面になる。 「そんから、木版屋の福田家にもらわれ、やっと福田という苗字がついて、福田房次郎になった。福田の家で、役に立つ人間になろうと思って、おさんどん、台所仕事を自分から始めた。」 房次郎が、かまどで薪をくべて米を炊き、福田の父、母と食事をしている。 父親が飯を食い、「美味い、美味すぎる。一等米を買ったのか?」と怒る。 母親が「三等米の金しか渡してません。」 問い詰める父に、房次郎は「何種類かの三等米を少しつくね混ぜて、水切り時間をきっちり計って、強う炊いたら、美味しくなります。毎日ここで勉強させていただきまして。」 画面には、いつの間にか、色がついていた。 「何か、褒美をやろう。」 「釜についたオコゲをください。」 「オコゲか、なんぼでも食え。」
「食べ物に執着して、道端の野草や、田圃のタニシでも、美味しいものをつくった。福田の親の喜ぶ顔が見たくて。」
ヨネ子が、「実のご両親のことは」と聞くと、魯山人は席を外してしまった。 三十分、永遠かと思われる時間が流れて、いい匂いがしてきた。 ヨネ子の腹が鳴る、立って行くと、魯山人がかまどに薪をくべてご飯を炊いていた。 「覗いてないで、こっちきいや。お米も水も毎日違う、真心込めて炊くんや。オコゲが出来るほど、強く炊いたら美味しくなる。あんた、オコゲが好きか。」 「好きです。」 魯山人は、皮のある何か(?)を削って、オコゲの茶づけを作ってくれた。 胡瓜とシラスの和え物を添えて。 ヨネ子は、魯山人の目の前で、それを食べる、ニコニコしながら。 「ご飯は、最高の料理なんや、私がつくり、あんたが食べるんや。あんた、食いしん坊やな、これ持って帰れ」と、小さな風呂敷包みを渡した。
家に戻ってヨネ子がそれを開けると、楕円の赤い塗り物の弁当箱に、握り飯、タニシの佃煮、沢庵が入っていた。
魯山人、吉田茂首相を唸らせる ― 2026/04/23 07:10
魯山人の家のことをしている使用人の春子(中村優子)が北鎌倉の畑で、「♪桑港(サンフランシスコ)のチャイナタウン 夜霧に濡れて 夢紅く 誰を待つ 柳の小窓 泣いている 泣いている おぼろな瞳 花やさし 霧の街 チャイナタウンの恋の夜」と歌いながら、茄子や獅子唐を収穫して、大磯の吉田邸へ。
吉田邸では、吉田茂首相(柄本明)が、「ようこそ、大磯まで」と北大路魯山人を迎え、手を出して握手する。 そして「傍若無人、人を人と思わぬ北大路何とかという人の料理を食べてみたくてね」と。 魯山人も、「私のほうこそ、マッカーサーとやりおうて、ふだんは人を食って生きている、吉田ナニガシという方に料理をつくること、ほんま嬉しいですね。」 「私に似て、口が悪い。」 「貴方こそ、私の真似をしていらっしゃる。」
台所で、魯山人は弟子の板前に、「吉田さんはイタリアやイギリスが長いから、白葡萄酒がお好きだろう、前菜は鶏肝と味噌を和えて」と。 そこへ、京丹波和知川の鮎が届く。 田ノ上ヨネ子は、もうフラフラ、台所に倒れ込んで、寝てしまう。
魯山人は、吉田茂に、「おこんだて」と書いた紙を渡す。 「前菜 鮎しおやき 鮎いろいろ お茶づけ 北大路魯山人 吉田茂様 御侍史」 吉田は「温かい字だ、良寛さんがお好きか。字には全てが表れる、よい字を書こうとすると、さもしい根性まで表れる。」 魯山人は「そうですな。おのれ以上のものは出来ません、料理と同じです。」
吉田は、白葡萄酒のマルゴー1937を出させる。 茄子や獅子唐、菊の葉で飾られた前菜、「このパテは何だ?」 「味噌と鶏肝で。」 「日本の食べ物は、ヨーロッパ以上だな。」
台所では、竹串を打った鮎二匹が焼けた。 まだ寝ているヨネ子を跨いで、レモンを添えた鮎を吉田に出す。 魯山人も、吉田の前でビール瓶の栓を抜いて、飲む。 「お手に取って、腹からガブリと」 「ウーーン! 美味い、何だこれ?」 「鮎です。」 「そのビール、もらえるか?」 「わかっていらっしゃる。」 「美味い!」 次は、蓼(たで)酢につけて、齧る。 「ウーーン!」 魯山人も、鮎を齧る。 吉田は「もう、一匹焼いてくれるか。」 「ありません、これっきりです、すみません。」 「どうぞ」とビールを注ぎ、二人でビールを飲む。
台所で、鮎を焼きますかという弟子に、「焼かない。二匹目は、一匹目より美味しゅうはならん。」と言い、「もう一匹だけ焼いとってや」。
吉田は、「なぜ鮎がこんなに美味いのか」と、聞く。 「京都丹波の和知川の鮎の美味さは、腸(はらわた)にございまして、釣ったらすぐ、その腸を揺れないようにして、生きたまま大磯まで運びました。蓼は近所の川で取りました。今日の料理は、私が作ったというものではなくて、自然が育んだものを、美味しく頂戴しただけです。エヘヘヘ!」 「参った。料理は、いつ覚えた?」 「七つの時から、京都でおさんどんをして、吉田さんのような王子でなく。」 「王子と乞食か」 「王子と捨て子で」 「魯山人、口は悪いが、料理は本物だ。」 「吉田茂はんの、舌も口も大したもんでございます。」 「今度、金を持っている奴らを行かせることにするから、頼む。」
台所でようやくヨネ子が目を覚ます。 腹が鳴る。 弟子が「先生からです」と、一匹だけ焼いた鮎を差し出し、ヨネ子はそれにかぶりつく。

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