主役をはっきりさせること2006/01/17 07:08

 「知るを楽しむ」木曜日“日本語なるほど塾。”には、「言葉探偵 金田一コ ーナー」というのがある。 金田一秀穂杏林大学外国語学部教授(金田一春彦さ んのご子息)。 12月は「主役はどっち」という話で、言語学の立場から、言 葉(話や文章)には“図”と“地(じ)”があるというシリーズだった。 ふつう「灰 皿の下の机」「町並みの手前の窓」とは言わない。 何かヘンなのは、“図”と “地”が逆転しているからだ。 “図”は、テーマ、役者。(小さい) “地” は、背景、舞台。(大きい)

 スピーチなどで、聞きたいのは“図”の方で、それは名詞・動詞。 “地” は、接続詞・助動詞・助詞、「でありますからー」とかばかりやると、聞きづら い。 スピーチのコツは、“図”をはっきり言う、つまり名詞・動詞を大声では っきり言うこと。

 私たちはしゃべる時、最も大切なものを言いたくなる。 それは主語になり やすい順番で、大切なものから(1)私 (2)二人称 (3)三人称 (4)生き物 (5) モノ・コト。 相手がある話でも、(私が)「踏んづけられた」と、受身にする。

 カタカナばかりの手紙は、わかりにくい。 カタカナはテーマ(言語学的には “図”)になりやすい、からだ。 ひらがなは、背景(“地”)。 カタカナばか りだと、おかずばっかりの食事という感じになる。 白いご飯や、酒が欲しく なる。 人間の物の見方が、大切なもの、大切じゃないもののバランスで、世 の中を見ているからだ。

 この一連の話は、文章を書いたり、話をしたりする上で、たいへん参考にな る。 申し訳ないけれど、私はまた「福澤先生誕生記念会」での塾長の年頭挨 拶のことを思い出してしまった。