恰好の浅草入門『浅草 老舗旦那のランチ』2012/06/10 02:12

 2月25日の等々力短信・第1032号「福を呼ぶ豆おもちゃ」で紹介した木村 吉隆さんの『江戸の縁起物―浅草仲見世 助六物語』(亜紀書房)につづいて、浅 草についての楽しい本が出た。 藤井恵子さんの文、鈴木俊介さんの写真『浅 草 老舗旦那のランチ』(小学館)だ。 お店にいらっしゃると、お客さんに「ど こか美味しい昼飯のお店はありませんか」と、たびたび聞かれるという木村さ んから、本が出るよ、という話は聞いていた。

 この本、浅草に店を構える老舗の旦那がた19人が、日頃ランチに通う名店 (以下の〔〕内)を推薦、その推薦人とお相手の二人一組になって、昼食をと りながら浅草の町の歴史や風物、ご商売のあれこれを対談する。 しょっぱな の〔駒形どぜう〕を推薦したのが、浅草のれん会会長で舞扇の老舗「荒井文扇 堂」の荒井修さん、お相手が「助六」木村吉隆さん。 つぎに木村さんが〔辨 天山美家古壽司〕を、胡麻油「伊豆安商店」の菱沼宏一さんと訪れるリレー形 式なので、天婦羅・会席料理・フレンチ・洋食・釜飯・洋食・蕎麦・とんかつ・ 鰻・イタリアン・ロシア料理・定食・とんかつ・和食・天婦羅・軽食喫茶と一 回りして「評判堂」冨士滋美さん推薦の〔寺方蕎麦 長浦〕で、荒井修さんに戻 る。

 口絵写真には花見時の東京スカイツリー、三社祭斎行七百年祭での浅草神社 本社神輿の堂上げ(左端でマイクを握っているのは荒井修さんだと思う)、裏表 紙には舟渡御の写真もあり、荒井・木村対談に加わった〔駒形どぜう〕の渡辺 孝之さんが「三社祭斎行七百年祭として行なわれた舟渡御も盛大でしたね」と 言っているから、情報は最新のものである。 しかも旦那がたの話の随所に出 て来る浅草の歴史と伝統によって、うすっぺらな観光案内書とは、一味も、二 味もちがった「浅草入門」になっている。 地図や掲載店リストなども、わか りやすくレイアウトされていて、食べに行ったり、覗いてみたいお店を、尋ね る時の実用書としても、とても便利だ。

 「舟渡御」も今年初めて聞いたのだけれど、「堂上げ」「堂下げ」というのも 知らなかった。(それは、また明日)