市也改メ柳亭市弥の「元犬」 ― 2013/01/03 07:03
年賀状で、落語研究会の覚書に言及して下さった方が何人かいた。 気をよ くして、12月25日に開催された第534回の落語研究会である。 クリスマス というのに、さん喬、小三治人気か札止め、もっとも定連世代は今やクリスマ スとは無関係かもしれないが…。
「元犬」 市也改メ 柳亭 市弥
「鮑熨斗」 蜃気楼 龍玉
「火事息子」 柳家 さん喬
仲入
「尻餅」 春風亭 一朝
「お茶汲み」 柳家 小三治
市弥は11月1日に二ッ目に昇進した、と拍手をもらう。 垂れ目、おかっ ぱ頭、市馬の弟子で、初め三橋美智也の「也」を付けられたが、「哀愁列車」は 知らなかったという。 職務質問を受けた、浅草演芸ホールの真ん前の交番で。 そこの演芸ホールから出て来たというと、従業員か? と聞く。 噺家だという と、蕎麦を食べてみろ、と言う。 やって見せたら、「おめえ、前座だな」と言 われた。 その警官を見返すように、がんばっていきたい。(拍手)
犬は色で区別するが、白は数が少なくて、人間に近いとかいう。 犬の白が 三七、二十一日、蔵前の八幡様に裸足参りをして、人間になった。 裸なのに 気づいて、奉納手拭を腰に巻く。 顔を知っていた口入屋の上総屋の旦那が、 色が白くて、いい男だ、請け人はなさそうだが、正直そうだからと、羽織を貸 してくれ、店へ連れて行ってくれる。 上がるのに足を洗えと言われ、雑巾を 口にくわえて振り回す。 廊下を拭けと言われて、四つんばいでツーーッと拭 いて、うまいな、と褒められる。 雑巾しぼった水飲むな。 お腹が空きまし た。 沢庵は嫌い、梅干は駄目というので、旦那の干物で、お鉢のご飯をそっ くり、二升食う。 フンドシ締めたことがない、帯を渡すと口にくわえて振り 回す、変わってるね。 変わった奉公人が欲しいという隠居のところへ。 お 元という女中がいる。 生まれは? 八百屋と乾物屋の間、あそこは私の家作 だが、奥の掃き溜めで、謙遜して偉いな。 お父っつあんはわからない、みん なは酒屋のぶちという、おっ母さんは毛並みのいい奴についていってしまった。 三匹いっしょに生れ、一番最初に生れたから末っ子といわれている。 三つ子 だろう。 一番上の兄は大八車に轢かれて死んだ。 二番目の兄は、近所の悪 ガキに川へ放り込まれた。 天涯孤独。 名前は? 白、白吉や白太郎でなく、 ただの白、忠四郎か、いい名だな。 茶を入れろ、鉄瓶がちんちんいってい るだろで、ちんちんし、焙炉(ほいろ)を取ってくれで、ワンワン吠える。 し ょうがないな、と女中を呼ぶ。 元はいぬか? えー、今朝ほど人間になりま した。
浅草の警官を見返すためには、まだかなりの修業が必要かもしれぬ。
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