蜃気楼龍玉の「鮑熨斗」2013/01/04 07:09

 龍玉は五街道雲助の弟子、弥助から蜃気楼龍玉になった2011年2月、「臆病 源兵衛」を聴いて、なかなか手堅く、面白く聴かせたと褒めたことがあった。  今回は、前座噺といってもよい「鮑熨斗」、女房のお光が賢く、亭主の甚兵衛が 頼りない落語の定番だ。 おナカが空いてフラッとした甚兵衛、おまんまにし てくれというが、米もお足も切れている。 女房のお光がと言えば、貸してく れるからという山田さんに、普段からの信用だと50銭借り、魚屋に尾頭付を 買いに行く。 テエは5円、とても50銭には負けられない、鮑を篭に入れれ ばお遣い物になるからと、一杯20銭を三つ50銭に負けてもらって買ってくる。  女房は大家のところの婚礼の祝いの口上を、甚兵衛に教える。 お返しに1円 はくれるから、50銭を山田さんに返し、50銭で米を買う計略だ。 覚えられ ないというのを、「口移し」でというと、昼間っからか、雨戸を閉めないと、と 甚兵衛。 以前は「津波」が多く、小遊三が「名古屋から津波がまいります」 とやったのを聴いたことのある、これは長屋から「つなぎ」のほかというとこ ろを、龍玉は「うなぎ」でやった。 で、大家のところで、「うなぎ」か「どじ ょう」か迷う。

 大家も、鮑を持って来たのは、お光さんも承知なのかと聞くので、内輪の話 をみんなやると、「磯の鮑の片思い」で、縁起が悪いから持って帰れと、鮑を放 り出す。 鮑が四つになったと思ったら、一つは猫のお椀だった。 帰る途中、 腹が減って鼻の頂きがタラコに見えるトウリュー(棟梁)と会い、祝いものに ついている熨斗の根本は、紀州の鳥羽浦で海女の採った鮑だ、大家に熨斗はは がして返すのか、訊いてみろ、屁でもひっかけてやれ、そこでケツをまくれば、 5円は出す、と教わる。 ケツはまくれねえ、ふんどしを締めてないから。 つ いでに仮名で「のし」の「し」を長く書くのは、鮑の剥きかけで、梨や柿を剥 いても、こう伸びるのと同じだと教わる。

 ヤイ、コノヤロー、熨斗のポンポンは、海女がどっかの浦で…、ケツは諸事 情があって、まくれません。 その話、大家も聞いたことがあり、問いに答え られたら5円出そう、「のし」の「し」を長く書くのは? 「鮑の剥きかけ」で 一本取る。 もう一つ、訊きたい、10円でも20円でも出す。 杖をついたよ うな「乃し」というのは何だ? あれは、鮑のおじいさんでございます。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
「等々力」を漢字一字で書いて下さい?

コメント:

トラックバック