「冷奴」の季題研究から2014/07/18 06:44

 「冷奴」と「睡蓮」の句会では、山内裕子さんの「冷奴」の季題研究発表が あった。 日常使っている言葉にも、いろいろな背景のあることがわかって、 勉強になった。 「冷奴」の語源は、四角く切ることを「奴に切る」と言った ことから、豆腐を四角く切って冷やしたものをいう。 「奴」は、武家に働く 者の中でも低い身分にあたり、「中間(ちゅうげん)」や「小人(こびと)」「折 助(おりすけ)」と呼ばれていた武家奉公人を、蔑むときの呼び名。 その「奴」 の着物の四角い紋に似ていることから、四角く切った豆腐を「奴豆腐」と言っ た。

 「奴」の語源は、「家つ子」(やつこ)だとされる。 農民や一般町民が雇わ れることが多かったらしい。 武士が出かける時の荷物持ちなど、雑務をこな していた。 参勤交代の時などでは、大勢の「奴」が必要になるため、臨時で 雇われることも多かったという。 財政が苦しくなった江戸時代末期には、登 城や行列の日のみ、口入屋から、日雇の「奴」を雇い入れていた。 つまり非 正規雇用。

 「奴」は、大きな四角形の紋所を染めた半纏を着ていることが多かった。 こ の紋は「釘抜紋」と呼ばれる。 様々なご家中の手伝いに雇われていたことか ら、汎用性のあるものとして、この紋が選ばれたらしい。 「釘抜紋」は、大 きな◆の中心に小さな◇があるシンプルなデザインだ。 昔の釘はL字形で、 この釘を打ったとき、のちの抜きやすさを考えて、座金を敷いた。 釘を抜く とき座金に梃子を差し込めば、いわゆる「梃子の原理」で簡単に抜くことがで きた(馬場註…このあたりが、実物を見ないと理解できない)。 この座金が意 匠化されて家紋になった。 一方、「釘を抜く」を「九城(クキ)を抜く」にか け、「敵城を攻略する」という縁起から、尚武の紋として武家の間で用いられる ようになった。 単純な意匠が遠くからよく目立ち、戦場でも簡単に旗印とし て書けたことなどから、多くの武家が用いるようになったという。

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