雷門小助六の「さんま芝居」2023/10/05 07:02

 小助六は、黒い羽織に、薄紫の着物。 旅に出るが、土地土地でいろいろだ。 秋田の小学校で学校寄席、女の子が花束、男の子がお菓子をくれた。 さらに、小さな女の子が一升瓶をくれ、「とても口当たりがいいんです」と、言った。

 東海道を旅すると、小田原では蒲鉾が出る。 奥州だと、秋刀魚が出る。 大根おろしがつくのは、秋刀魚の脂を中和して、中(あた)らないからだという。 大根おろしで中らないことから、当らない役者を、大根役者という。

 江戸からの旅の二人連れ。 兄貴、毎日秋刀魚を食うが、この宿は大根おろしが旨い。 気のせいだろう。 外の人通りは、村の鎮守のお祭りに、江戸から化け物芝居が来たからだそうだ。 見に行ってみるか。 市川団十郎の弟子で市川怨霊と中村無念蔵が来ている。 坊さんに化けてる。 「鍋島の猫騒動」だ。 猫が人間に化けた。 エー、おせんにキャラメル、エー、小田原提灯、蝋燭、草鞋に、握り飯! 鼻之丞が、芝居見物に婆さま連れて来た。 九十二。 次は「蔦紅葉宇都谷峠」だ。

 夜明け前、目が不自由な文弥が京で官位をもらう百両が入っている包みを持っている、物騒だ。 伊丹屋十兵衛が、その金、儂(わし)に貸してくれ、文弥殿。 さる殿様の若衆に、殿の姫がかどわかされて、廓に売った金。 十兵衛様、こればかりは、京で官位をもらうもの。 そうか、あきらめよう、(目が見えない)文弥殿、ここで別れよう。 後ろに回った十兵衛、文弥を宇都谷峠の谷底へ、突き落とそうとする。 許しておくれ! そなたは、鬼か、獄卒か!

花道の文弥、恨み晴らさでおくべきか! 幽霊になって出ようとしたら、煙がない。 係が宿に忘れて来た。 楽屋でたまたま皆で秋刀魚を焼いて食おうとしていた。 それを舞台の袖に持って来て、バタバタバタバタ! 生臭い臭い、秋刀魚の幽霊だ。 ウラメシーーイ、サンマメシーーイ! (江戸の旅人二人が声をかける)日本一! 大根! その大根を、おろして、早く晩飯が食いてえ。

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