胡錦濤体制の確立と安倍訪中2007/05/18 07:01

 国分良成教授は、今年2007年という年の重要な政治的意味を指摘する。 今 秋、中国共産党第17回全国代表大会(5年に1回)が開催され、胡錦濤党総書 記は二期目に入る。 現在ポストの再選は二期までとなっているから5年後、 2012年の第18回党大会で胡錦濤の引退が始まる。 党大会の半年後に、全人 代(全国人民代表大会・政府と国家の会議)が開かれ、国家主席や国務院総理 (首相)を選ぶ。 温家宝国務院総理(首相)は来年3月二期目に入る。 胡 錦濤は、党総書記、国家主席、中央軍事委員会首席の三つのポストを兼ねてい る(任期制をとり入れたトウ小平は軍の首席だけに就いていた)。

江沢民がすべてのポストを渡してから二年しか経っていない。 それは権力 の委譲に葛藤があったからで、昨年9月の上海市党トップの解任は、江沢民グ ループとの闘いの結果である。 事件以後、全国津々浦々が怖がって、胡錦濤 を褒め讃えるようになった。 中国では、権力闘争は一切表面に出てこない。  批判や安易な発(失)言はない、即座に更迭される。 副大臣でも徹底的に学 習させられるから、みんな同じことを言う。 就任早々の安倍首相が訪中した 10月8日に、権力が確定した。 権力を固める、中国の重要な党の会議の日で あった。 日本政府もその間の情報を承知の上で、訪問の日程を決めたのだろ う。 胡錦濤は党の会議の途中、懸案であった日本との外交関係も修復した。  柔軟策を取り、歴史に拘泥しないことで、バランスをとり、均衡点をさぐった のだ。

 今秋の党大会で、次の十年のリーダー(2022年までの)となる後継者を出さ なければならないから、熾烈な争いがつづく今年が勝負だと、国分教授は指摘 した。(つづく)