最新の『素晴らしき哉、人生!』映画2014/10/02 06:34

 子供の頃、映画『素晴らしき哉、人生!』を観て、その気になって胸を張り、 風のそよぐ明るく輝く街へ、大股で日比谷映画劇場を出た時のことは、60年ほ ど経った今も、忘れられない。 フランク・キャプラ監督、ジェイムス・スチ ュアート、ドナ・リード主演。 ドナ・リードが好きになった。

 だから『アバウト・タイム~愛(いと)おしい時間について~』の紹介記事 (9月26日朝日新聞夕刊)で、リチャード・カーティス監督が「この映画は フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』に近いかもしれません」 と語っているのを読んで、ぜひ観たいと思った。 リード文の出だしにも「映 画館を出た時、周囲の何でもない風景が輝いて見える――。そんな映画」と、 石飛徳樹編集委員が書いていた。

 9月29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズの午前10時15分からに、家内と 出かけた。 この映画が観たいと言ったら、家内もそう思っていたと言ったか らだ。 月曜日の第一回にしては、そこそこの入りだった。

イギリス南西部の美しい海辺の町コーンウォール、オレンジ色の髪でヒョロ ヒョロとした冴えない青年ティム(ドーナル・グリーソン)は、両親(ビル・ ナイ、リンゼイ・ダンカン)、妹のキットカット(リディア・ウィルソン)、そ して叔父のデズモンド(リチャード・コーデリー)と、浜辺の家に住んでいる。  一家は、どんな天気でも浜辺でお茶・ピクニックを楽しみ、週末は野外で映画 上映をする、風変わりな仲良し家族だ。 ティムは、自分に自信がなく、シャ イで、女の子に声もかけられず、彼女がいないのが悩みの種だった。 年越し のカウントダウン・パーティーでも、女の子の誘いに乗れず、自己嫌悪に陥っ た。 翌朝、父は21歳になったティムを書斎に呼ぶと、この家の男たちは代々 タイムトラベルの能力を持っているという秘密を明かす。 暗い場所で、こぶ しを握り、戻りたい過去のシーンを思い浮べると、自分の過去へ行ける。 た だし、歴史を変えることは不可能で、未来にも行けないけれど…。

ティムは、この家で夏休みを過ごした妹の友達で美人のシャーロット(マー ゴット・ロビー)に恋をし、最後の日に告白してふられ、タイムトラベル能力 を使ってアタックしたが、それにも失敗する。 それを機にロンドンに出て、 父と友人の脚本家(トム・ホランダー)の家に下宿、弁護士を目指す。 事務 所の仲間と行った出会い系「暗闇レストラン」で、運命の女性メアリー(レイ チェル・マクアダムス)と出会って、たちまち恋に落ちるのだが、タイムトラ ベルが引き起こす不運によって、なかなかうまく運ばない。 この、レイチェル・マクアダムスがとても、可愛らしい。 かつてのメグ・ ライアンを思い出した。