中越地震の上越新幹線脱線、負傷者ゼロ2006/09/11 06:28

 「予測できるはずの失敗」の話で、畑村洋太郎さんは一つの成功例を紹介し た。 2004年10月の新潟県中越地震で、走行中の上越新幹線が脱線した。 急 ブレーキをかけたが、電車は2km走って、停車した。 一人の負傷者も出さ なかったこの脱線事故を、畑村さんはまれにみる成功例だという。 1995年1 月17日の阪神淡路震災後、必要な所に対策を取って、高架橋の補強工事が行 なわれていたので、高架橋が崩壊せず、レールもつながっていたから、電車は 上手に脱線し、転覆せずに大惨事をまぬがれたというのだ。 高速道路の高架 橋が倒壊した阪神震災後、JR東日本は地質調査をし、断層の走る3ヶ所を重 点的に高架橋の鉄板巻きコンクリート補強工事を実施した。 東北新幹線の福 島・仙台間、上越新幹線の高崎の手前と、この長岡地区だった。 20本の補強 工事をしたまさにその上で、上越新幹線は脱線したのだった。

 きちんと数量化し、科学的に考え、正しい対策をすると、被害は最小限にな る。 過去の失敗に、真剣に正面から向き合って、どんなことが起こったか、 どう対応すればそれに対する正しい対応ができたのか、徹底的に考え尽くし、 みんなでその知識を共有する。 そうすると、起こり得る失敗を予測できる。  失敗と、そのひどい結果を、避けることができる。 みんながそういうふうに 当り前に取り組むような社会にもって行きたい、と畑村さんは語った。