西洋の仲間入りができない「つらさ」2006/09/24 07:00

 藤原稔由さんが「トルコの魅力」の第一として挙げたのが、アナトリア(小ア ジア)に重層的に重なった歴史の厚みである。 古代、神話の時代からいろいろ な民族が興亡し、その歴史を受けて、史蹟や史実がたくさんに残っている。   トルコ人はどこから来たか。 紀元前3世紀、中国の史書に「丁零(テュルク)」 として現れたトルコ族は、紀元4世紀にはモンゴルにいて、万里の長城が築か れたためか、西への移動を開始した。 中央アジアに展開していたが、ジンギ スカンの膨張に追われ、11世紀に今のトルコの地に来た。 もともとはモンゴ ロイドだが、やがては混血によって白人(コーカシアン)の仲間入りをする。

 そんなわけで、トルコ族には東から西へ行くDNAがあり、現在、EUの一員 になろうと運動しているが、なかなかなれない。 日本も極東にいて、明治時 代に近代国家となり、それなりによくやったけれど、完全には欧米の一員には なれないではないか。 トルコの人々は、その「つらさ」に、日本へのシンパ シーを感じるのだと、長い間トルコ人とつきあってきた藤原さんは言う。 イ スタンブールなどは、東洋と西洋がぶつかる接点だ。 西洋文明を取り入れ、 文化を発達させるについて、トルコと日本は、似たような過程をたどった。 そ こにも、トルコの人々はシンパシーを感じるのだそうだ。