圓馬の「短命」、喬太郎の「お札はがし」2006/09/05 07:57

 三遊亭圓馬を知らなかった。 プログラムにある長井好弘さんの解説によれ ば、なるほど落語研究会初登場、実力はあるが、内気で人見知り、自己アピー ルが思い切り下手くそなのだという。 左肩を下げて、半身の具合が悪いので はないか、という出方をした。 師匠が橘ノ圓(まどか)、といってもキャバク ラじゃない、平成14年の午年に馬のついた名を継いだ。 いろいろと巡り合 わせがあって、婆さんが午年、女房が午年、その星座はどうでもいいけれどサ ソリ座で、話題の冥王星はサソリ座の守り神、実は丙午なので蹴飛ばされる。  自分は苗字が中山、というのも、巡り合わせ。

 「短命」、はっきり言って面白くなかった。 上のマクラや、器量のいいのが 「短命」で、長生きするのが「チャンポン」、伊勢屋のお嬢さんが5年前に28 で、今は78、十の位に足した等、細部に光るクスグリはあるのだが…。 振る いつきたくなるような、いーーい女のお嬢さんの所に養子に来るご亭主が、三 人つづけて死んだあたりのストーリーが伝わるように語られていなかった。

 喬太郎の、三遊亭圓朝作「怪談牡丹燈籠」より「お札(ふだ)はがし」の方が 数段上、これは聴かせた。 登場人物は、浪人萩原新三郎、医師山本志丈、旗 本飯島家の娘お露、お付の女中お米、手相見白勇堂悠(?)斎、谷中新幡随院の良 石和尚、新三郎の家作に厄介になっている伴蔵、おみね夫婦。 萩原新三郎と の恋を生木を裂くように引き裂かれ、焦がれ死にしたお露が盆の十三日、女中 お米が「牡丹燈籠」で足下を照らし新三郎の所にやって来る。 女二人分の駒 下駄の音「カランコロン」が有名だ。 新三郎とお露は、うれしい仲になり、 お露とお米は毎晩通ってくるようになる。 白勇堂が死霊だと見抜き、新三郎 を良石和尚の所へ行かせる。 良石は死霊と情を通じては「短命だな」(笑・受 けた)といい、お札と金無垢の海音如来のお像をさずけ、朝晩陀羅尼経を読むよ うに教える。  新三郎の家に入れなくなったお露とお米は、伴蔵に頼み込む。 伴蔵は、お 足のないはずの幽霊が下駄を履いている足下を見て、百両の金をせびる。 チ ャリチャリチャリチャリ、降ってき小判が山となり、「お札はがし」となる。 新 三郎の運命や、いかに。