志村節子さんの個展2006/09/18 06:41

 15日、日本橋の高島屋に志村節子さんの個展(19日まで)を見に行った。 志 村さんは、詩情豊かな、透明感のある独特の色彩で、気品に満ちた静物や風景 を描く大画伯だが、実は高校新聞の仲間なので、6月のOB・OG会では並んで 受付などをした。 慶應の仏文を出たあと、東京芸術大学油画科に入りなおし て、大学院まで行き、フランス政府給費留学生として渡仏、画家になった。 現 在、立軌会同人、女流画家協会会員。 山田風太郎、黒井千次、常盤新平氏ら の作品の挿画、各新聞の文化欄のカットで、その作品をご覧になった方も多い と思う。

 今回の個展を見ての第一印象は、色彩がずいぶん濃くなったな、というもの だった。 従来、淡い色調で、繊細に、ある種軽やかに描かれていた静物が、 どっしりと描かれている。 花瓶や壺、ガラスの鉢や置物、マンドリンやヴァ イオリン、馬や鳥の置物、薔薇の花や果物、そのどれもが存在感を感じさせる。  背景もそれに合わせて、濃く塗られるようになった。 生意気に、志村さんに そう素人感想を述べると、ご自身ではあまり変っていないと思っておられる風 だった。 10月から、文化庁の芸術家海外留学制度特別派遣研修員として、パ リに版画の勉強に出かけるという。 恐れ入る同期生である。

 上品で気持のよい室内楽のような、志村節子さんの個展が、私にとって、今 年の美術の秋の幕開けとなった。