柳朝を襲名する朝之助の「武助馬」2006/09/04 07:43

 新国立劇場の芝居の話で、落語ファンにはお待たせ(?)したが、31日は国立 劇場小劇場の落語研究会、数えて第458回、満員御礼の看板が出ていた。

  「武助馬」         春風亭 朝之助

  「短命」          三遊亭 圓馬

  牡丹燈籠より「お札はがし」 柳家 喬太郎

            仲入

  「目黒の秋刀魚」      春風亭 正朝

  「鰻の幇間」        柳家 権太楼

 朝之助(ちょうのすけ)は、来年3月真打昇進、大名跡の柳朝を襲名するとい う。 長い首の上に、ぐりぐり目玉の七三に分けた頭がのっている。 平成6 年に一朝に入門したというから、平成3年に亡くなり、その10年前には脳梗 塞で倒れていた五代目柳朝は、ほとんど知らないはずだ。 江戸前のきっぷの 良さで一世を風靡し、次代の落語界を背負うといわれ、フランク・シナトラの 映画にも出た、あの柳朝である。

 朝之助、その名跡を継がせてもらえるだけあって、なかなかいい。 「武助 馬」は芝居噺、せんに勤めていた旦那の所に役者になった武助が挨拶に来る。  勘三郎の向うを張った中村堪袋の弟子で頭陀袋、それよりはと本名を選んで中 村武助、隣町の八百屋の路地の突き当たりに小屋掛けして、『一谷嫩(いちのた にふたば)軍記』で馬の脚を演じているという。 前脚は兄弟子の池袋、武助は 後ろ脚だというが、いい旦那で、自腹で酒、つまみ、弁当を誂え三十人を動員 して総見、楽屋にも鰻弁当を差し入れる。 上に乗る熊谷直実、親方の堪袋が その弁当を十人前食って重くなったからたまらない。 前脚の兄弟子が張子の 馬の中でオナラをする。 「待ってました、ウシロアシー」の声がかかって、 武助はピョンピョン跳ねる。 張子はヘチマを乾燥させたもの、ボキーッと折 れて、親方は落馬、中から顔が出て、馬が丸顔になった。 慌てて幕を締めた のを、前の客が引っ張って、幕が落ちた。 書割が倒れて、裏の家の塀も一緒 に倒すと、裏の家の庭でおかみさんが行水をつかっていた。 アレーッ、と立 ち上がる。 隠すところは、隠そうとする。 「もっと真面目に、芝居やれー ッ」の声。 素顔を出した後ろ脚の武助「ヒヒーン」と鳴いて、「何で後ろ脚が 鳴くのか」とつっこまれ、「さっきは前脚がオナラをしましたから」