正雀の「音曲質屋」 ― 2008/07/05 07:06
正雀、落語研究会はひさしぶりに出て来た。 2002年3月の「あたま山」以 来だろうか。 ずいぶん白髪が多くなって、がっしりした顔になった。 例に よって、きちんとし、袴を穿いている。 それでいて、街でティッシュをもら うようにしている、困った時のカミだのみ、などと言う。
「音曲質屋」、珍しい噺というより、出来る人が少ないのだろう。 いろいろ な音曲の素養が必要になる。 横丁の伊勢屋という質屋の旦那、ホトケの旦那 といわれ、音曲を聞くのが道楽で、月に一度「音曲質屋」というのをやる。 大 勢、並んでいる。 客が音曲などの芸をやると、五段階に評価して、金を貸す。 預けている間は、脇でやらないように、と。
まず、小噺をやるというのが来た。 子供の出来なかった夫婦が夢を見た。 神様が「赤ちゃんが口をきくと、不思議なことが起る」と言った。 おばあち ゃんに小判が降った。 おっかさんに小判が降った。 おとっつぁんに降らな いで、前の家のおじさんに小判が降った。 [一]、貸してあげなさい。 次の 端唄「春はうれしや」も、[一]。 都々逸、「明日の天気をお尻に訊けば、あた しゃ空見たことがない」、[一]。
つぎは歌って踊る、自称「宝塚の留」、「駕籠で来るのはお軽じゃないか」の ドンドン節、[二]。 次に、軽い芸で、義太夫のさわりをやるという。 こな いだも、そういって六段語った奴がいた。 デーン、デェーン、「玉手はすっく と立ち上がり、光秀殿…」、[三]。
最後は、声色で役者と噺家の掛け合い、歌右衛門と彦六(これが見事だった)。 貸せないといわれ、貸してくれ、冗談じゃあないよ、さんざん芝居や寄席に 通って芸を盗んだんだから。 貸せません、うちは盗品は扱いません、という 落ち。
こちらに音曲の素養がないから、ただ感心するばかりだが、正雀の存在は貴 重だと思った。
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