鈴々舎馬るこの「夢八」2016/05/03 06:29

 4月27日、実は後期高齢者になる日が第574回の落語研究会。 48年目の 新年度・第1回だ。 健康でずっと落語を聴いていられることが、有難い。

「夢八」          鈴々舎 馬るこ

「将棋の殿様」  遊一改メ 入船亭 扇蔵

「菊江の佛壇」       五街道 雲助

         仲入

「無精床」         三遊亭 歌武蔵

「花見の仇討」       柳亭 市馬

 鈴々舎馬るこ、太目の丸顔を分厚い髪が囲む。 来年3月、真打昇進だそう だ。 甚兵衛さん! 八っつあんかい、お上がり。 病いが病気で、眠れない、 夢を見るんです。 起きていながら、夢を見る。 ヒツジやヤギや馬が飛ぶ。  天ぷらの鍋が下に見える。 手を、揚げようとしちゃった。 怪我しちゃうじ ゃないか。 三日、食べてない、助けて下さい。 一晩で二円になる仕事があ るが、やるか。 誰を殺すんで? 寝ずの番だ。 寝ないのは得意、釣りの番 か何かで? 一晩寝ない、弁当つける。 そこの薪を一本持ってくれ。 誰、 殺す? そんなんじゃない、一軒寄る所がある。

 お直さん! あら、甚兵衛さん、つりっぱなしです。 恐れ入るバカで、眠 らないのは得意なのを連れてきた。

 この番小屋の中だ、鍵を開けて入る。 暗いね。 雨戸は開けなくていい。  ここに蝋燭が五本ある、畳にムシロを敷いて、風呂敷包みを開けて。 オーー ッ、重詰二段重ね、煮しめだ、高野豆腐、さっきのお直さんが炊いたんですか、 ハフ、ハフ、ハフ、美味しいや。 下の段も見てごらん。 アーーッ、握り飯、 ひと月ぶりだ。 どこへ行っていたんだ、お懐かしい。 ウーーウン、ウ、い いお米だ、アッ、石が入ってる、歯が…(ポン、と捨てる)。 薪を持ってきた ろ、床をトントン叩くんだ。 気を張ってれば、夢を見ないだろう。 トント ントン、トトン、一人でやり遂げてくれ。 トントントン、トトン。 何で鍵 を閉めるんですか。 奥にムシロがかかっているのは、気にしないように。

 元気よく、トントントン、トトン、気にするな。 ゾーーッ、誰かいる、背 の高い人だ。 (薪で、ムシロの下を払ってみて)アーーッ、宙に浮いてる。  薪が当って、ムシロが落ちた。 ヒヤーーッ、バターン。 この長屋の奥から 一匹の三毛猫、化け猫がミシ、ミシ。 何か転がっている奴がいるぞ。 天窓 から、息を、フーーッ。

 夢だ、夢だ。 現実だよ、寒いから、手を握ってくれ。 手を握らないと、 子々孫々まで呪い殺す。 握るよ。 謎かけでもするか。 首吊りとかけて、 噺家のまることとく。 心は、地に足がついていない。 伊勢音頭を歌え。 ♪      伊勢はナー伊勢は津で持つ 津は伊勢で持つ ア ヨーイヨイ 尾張名古屋は ヤンレ城で持つ。 西洋の歌を歌え。 ♪大きなのっぽの古時計 おじいさん の時計 百年休まずチクタク チクタク おじいさんといっしょにチクタク  チクタク(と、揺れたので)、縄が切れて、八っつあんの上に…。

 八っつあん、朝だよ。 首吊りと、抱き合って寝てるよ。 あたし、寝てい ましたか。 よかった、病いが治った。

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