桃月庵白酒の「寝床」前半 ― 2020/02/03 07:08
白酒は白い着物で、正月興行は20日までひっぱる、と。 普段興行、打ち 上げをやる。 会長(落語協会、市馬)は、すぐ歌う。 パセラカード、上級 者のカードがある。 行くよ、てんで、行きますと、カラオケスナック。 リ クエストをして、出ると、偉い方がマイクを握りしめる。 下手な方も、いら っしゃる。 落語会の打ち上げ、有志で行きましょうとなり、まず噺家さんか ら、というのが困る。 殺伐とした雰囲気が嫌、「マイウエイ」なんか歌い上げ るところが好きなんだろう。 独房のような閉鎖環境で、聞いてほしい、見て ほしいで、するんだろう。 これは習い事に通じる。 踊りのお披露目の会、 満杯だけれど、興味を持って見てる人がいない。 落語教室で覚えた人も、披 露したい。 大ネタの「らくだ」、その後「子ほめ」を無理やり聞かせられる、 えらい騒ぎ。 義太夫を習ったが、二回で止めた、難しい。
聞かせたくなるのが人情で。 アーアー、アーアー、ア゛、ア゛、ブォー、 ブォー! お師匠さんは来ているか? かけぎぬ(掛け衣?)届いているか? 今日は御簾内(みすうち)で語ることにしよう。 料理人は来ているか? 茂 造は帰ってきたかい?
提灯屋には行ったかい、好きなのに、こないだは来られなかったから、喜ん だだろう。 何たることか、何たることか、喜ばしいことか…、でも、ほおづ き提灯を五十、注文を受けたそうで、猫の手も借りたいほど忙しいそうで、今 晩は伺えない、と。 そうか、こちらは道楽みたいなもんだからな、あいつに は差しで、みっちり語ることにしよう。 小間物屋はどうした? おかみさん が臨月だそうで、旦那には顔向けできないと、申しておりました。 来られな いなら、来られないと、はっきり言いなさい、お暇があったらということだ。 金物屋は? 親類に不幸があって、今晩お通夜…ニャゴ、ニャゴ、ニャゴ。 後 半が、まるで聞こえない。 来られないなら、来られないと、はっきりしゃべ りなさい、商人なんだから。 豆腐屋は、どうした? 生揚げとガンモドキの 注文を沢山受けまして、ガンモドキはつぶした豆腐とすりおろしたヤマノイモ を混ぜ合わせ、ハスにゴボウに紫蘇の実などの具を入れる、紫蘇の実は塩抜き をしなければならないので、大変手間がかかりますそうで。 ガンモドキの製 造法を聞いているんじゃない、来られるのか、来られないのか? 来られない んでございます。 言い方を変えよう、長屋の者は誰と誰が来るんだ? 誰も、 いらっしゃいません。 それをお前、ぐだぐだと。 鳶頭はどうした? こうい う時の為に、日頃半纏をこしらえてやっている。 寄合の幹事で、来られない そうです。
じゃあ、今日は久しぶりにお店のみんなに聞かせる会にしよう、どうだい? それは、それは、つらい(と、膝を叩く)。 徳兵衛、一番番頭は? 昨日の寄 合で、二日酔い、泣き面に蜂だと、二階でお休みになっています。 文吉は? 文どんは、脚気で、足を投げ出さなければならないから失礼だと。 藤吉は? 藤どんは屋根の修理をしておりまして、旦那の義太夫と言った途端に、落っこ ちたんで。 峰吉は? 峰どんは眼病で。 眼病…、脚気までは許すが、眼病 なら義太夫を聞けるだろう。 涙には塩分が多いそうで、けっこうな義太夫を 聞いて、泣くのがまずい。 家内はどうした? 朝方、胸騒ぎがするとおっし ゃって、坊っちゃんと里にお帰りになりました。 茂造、お前はどうだ? 私 も長屋を回って、疲れておりまして。 身体は達者なんだろう? 因果と丈夫 で…、よろしゅうございます、健康だけが取り柄、私一人が犠牲になれば、よ ろしいんでございましょう。 どうぞ、お語り下さい。 茂造、泣くな、泣き たいのは私の方だ。 義太夫は、昔、名人上手が苦心して書き下ろした物語、 結構なものだ。 その物語に、さらに節がつくんだ。 節がつくだけ、情けな い。
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