鯉昇の「時そば」2008/02/02 07:46

鯉昇は、あの顔だが、落語ブームで若い女性が寄席に来るようになり、気の 早い人はもうバレンタインのチョコレートを持ってくる、という。 もらうも のは、もらっておくように、という家柄に育ったので、もらうのだけれど、「倍 返し」だと聞く。 「倍返し」というのは仲人のお礼で、香典は「半返し」。 チ ョコの上に「御霊前」と書いてお持ちになれば、と。 初めて落語を聴いた女 性が、いろいろと質問をしてくる。 続きは、どうなるのか、とか。 知りま せん。 ご不審の点は、いろいろおありだろうけれど、こちらは口から出まか せでやっているので、人生を賭けて聴いていただくほどのものではないと、認 識している。

そこで「時そば」、鯉昇のは、期待通りに面白い。 表情や、しぐさがいい。  細い蕎麦を褒めて、こないだはうどんより太い蕎麦を食った、腰の強いのが蕎 麦の身上。 竹輪の厚いのを褒めて、薄いのは、痛々しい、涙が垂れる、くち ゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ、本物だね。 どこでもニセモノ、麩だ、 金魚の食い物だ、こう見えても、今までエラで呼吸したことはない。

ボンヤリ見ていたのが、ごくのんきな江戸っ子で、不思議な流れをつくる奴 だなぁ、と、さんざん指を折って勘定してみて、一文ごまかしていたことに気 づく。 真似をしてやろうと翌日、少々早目にウチを飛び出した。 割り箸を 使ってる、と言おうとしたら、割れていて、先にネギがぶら下がっている。 「深谷のネギです」、産地を聞いているんじゃない、振っても落ちないじゃないか、 きのうきょうついたネギじゃないな、歴史を感じるネギだ。 きたねえドンブ リだなあ、どっかで発掘したやつか、欠けているじゃねえか、「かけ蕎麦専用の どんぶりで」、横もとなりも欠けていて、全部ギザザザ、洗う時によく手を切ら ないな、「ウチは洗ってません」。 出来上がると「塀に寄り添って下さい」、汁 を一口すすり、珍しい汁だ、一瞬、気が遠くなった、それで塀に手をつくんだ、 よく見れば、塀には手をついた跡がたくさん、塀の角には白い菊とお線香が…。

コメント

_ やまもも ― 2008/02/02 19:45

まったくの推測で書くのだが……「時そば」という噺は、時間あるいは時刻という概念が、社会に共通のものとして定着して以降のような気がする。簡単にいえば、時計が、社会に普及してから、ということになる。でないと、この噺がなりたたない。と、思うのだが、どうだろうか。

ところで、私は、鉄道時計の愛用者。今、机のうえにおいてあるのは、学生の時に買った、SEIKOの鉄道時計(懐中時計のタイプ)。三田の学生のとき、生協の中で店を出していた時計屋さんで買った。ある時期、三田キャンパスに通ったことのある人間のうち、何人かは、同じものを購入しているはずである。

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