『RAILWAYS2』を観る2011/12/08 04:16

 「夫婦で観るように」と、いつもいい映画を教えてくれるFさんにすすめら れて、『RAILWAYS(レイルウェイズ) 愛を伝えられない大人たちへ』を観て来 た。 数寄屋橋マリオンのピカデリー2は、朝の回なのに、シニアを中心にけ っこうの入りだった。

 端的に、キャッチ・コピーは、こうである。 「仕事一筋の鉄道運転士、59 歳。彼を支えてきた専業主婦の妻、55歳。定年を前に、これからは妻と一緒に 過ごしたいと思っていた夫と、自分の時間を生きたいと思っていた妻。そばに いるのが当たり前すぎて、本当の気持ちを言葉にできないふたり。すれ違う、 夫婦の想いは…。」  「第2の人生、あなたは誰と生きたいですか――人生の分岐点に立つ、すべ ての大人たちへ贈る感動作!」  運転士滝島徹を三浦友和、妻佐和子を余貴美子が演じる。 広告で余貴美子 は、こっちを向き「いちばん近くにいるのに、一番わからないあなた。」と、言 っている。

 その広告に、ほとんど読めないような小さな字で出ている監督は、蔵方政俊 (第1回作品)。 脚本は、小林弘利とブラジリィー・アン・山田。 およそ騒 がしくない、ほどのよい作りに、感心した。 過剰に描き過ぎず、バイプレー ヤーとの挿話を積み重ねて、主題を浮かび上がらせて行く。 夫の定年を前に して、妻は、出産を機に辞めていた看護婦の仕事を再開しようと、動き出し、 拒絶されて家を出る。 末期がんの緩和ケアセンターで、自宅療養を望む患者 (吉行和子)を担当。 夫は、残り一か月、新人運転士(中尾明慶)の教育係を務め る。 「長いぞ、これからが」という元上司の老人(米倉斉加年)、真面目な滝 島と正反対のちゃらんぽらんな運転士(中川家礼二)。 寿司屋に嫁いだ娘(小池 栄子)は、出産を控えている。 里帰りし「滝島君?」と呼びかけた高校の同級 生(仁科亜季子)は、食事の後行ったバーで、昔デートで観た映画『卒業』のこ とや、滝島がカメラマンになりたいといっていたことを思い出させる。 妻の 友人(清水ミチコ)は、佐和子を気遣ってアパートを訪ね「久しぶりに5,000円 以上のワインを買ったけれど、やっぱり美味しいね」などと言う。

 なんといっても、富山地方鉄道の二両の電車が走るバックに、そびえたつ立 山連峰が素晴らしい。 運転士だった父の死で、18歳で鉄道に入り勤続42年、 無事故無違反の運転士歴35年、滝島徹の定年退職ラストランの日。 沿線の 各所には、それを見守って手を振ったり、敬礼する同僚たち、保線区の連中、 元上司、娘とその夫の姿があり、そして、終点には佐和子がいた。