“幼い老人”の入り口で2011/12/09 04:43

 4日の朝日新聞「読書欄」で、美術家の横尾忠則さんが、宮崎駿さんの『本 へのとびら― 岩波少年文庫を語る』(岩波新書)を紹介していた。 私は、この 本を、少し前に読んでいた。

横尾さんは、こう書いている。 「ぼくが羨ましく思うのは宮崎さんが長い 人生を常に児童文学を伴侶としてこられたことです。ぼくは少年時代、児童文 学は一冊も読まないまま、70歳の古希を迎え、残りの時間のことを考えた時、 今児童文学を読むしかないと思いました。本書に選ばれた本の中では、たった 7冊しか読んでいません。今ぼくは“幼い老人”の入り口に立っています。そ してこれからが児童文学に触れる人生の佳境に入ったのだと思っています。」

宮崎駿さんも、横尾忠則さんも、私と同年代ということになる。 私も宮崎 駿さんが選んだ50冊の内、岩波少年文庫で読んだのは『ドリトル先生航海記』 1冊だけで、『三銃士』『トム・ソーヤーの冒険』『海底五万里』(岩波は『海底 二万里』)『宝島』『小公子』『西遊記物語』(『西遊記』)は講談社版の「世界名 作全集」で読んだ。 期せずして、計7冊、横尾忠則さんと同じ勘定になるか ら、私も“幼い老人”の入り口に立っていることになる。

宮崎駿さんの50冊にある、『バラとゆびわ』『チポリーノの冒険』『ムギと王 さま』『クマのプーさん』『とぶ船』『床下の小人たち』『森は生きている』『ハン ス・ブリンカー』などは読んでいない。 つまり、宮崎さんの情操を形作り、 アニメーションの発想の元になっていると思われるような児童文学は、読んで いないことになる。