「森宗意軒の妻」、島原・天草一揆2024/02/05 06:58

 「深山隠れ」の最後に出て来る「森宗意軒の妻」だが、プログラムの田中優子さんの「新・落語掌事典(二四七)」で、知ることが出来た。

 この噺「深山隠れ」は、もともと辻噺(大道講釈)で、長編なので三回ほどに分けて演じられていたようだ、という。 たまたま、私の日記も上中下の三回に分けていた。 講釈は、史実をもとにする。

 森宗意軒というのは、島原・天草一揆で刑死した人物で、肥後のキリシタン大名の小西行長に仕えていた武将である。 島原・天草一揆で一揆側の惣奉行、目付、兵糧奉行だった。 この戦いが島原藩主松倉勝家による過酷な年貢徴収とキリスト教徒に対する拷問・処刑および、唐津藩寺沢堅高のおこなった石高偽造による重税など、常軌を逸する苛政に対する百姓一揆であったことは、一揆後に松倉勝家が斬首、寺沢堅高が自害とお家断絶の処罰を受けたことからもはっきりしている。 にもかかわらず幕府は全国の武士を集めて原城に籠城した三万七千人の庶民を殲滅した。 彼らは全てがキリシタンだったわけではない。 恨みがずっと続いたのは当然だった。 と、田中優子さんは書いている。