マッカーサーの「天皇の戦争責任と裁判」 ― 2015/08/03 06:27
昨日、書いた話を、以前読んだ本で、補足しておく。
○袖井林二郎著『マッカーサーの二千日』(中央公論社・1974年)
9月27日、昭和天皇がマッカーサー総司令官を訪れ、会見した折のこと。 『マッカーサー回想記』下(朝日新聞社・1964年)には、「天皇の口から出た のは、次のような言葉だった。『私は国民が戦争遂行にあたって、政治、軍事両 面で行なったすべての決定と行動に対する全責任を負う者として、私自身をあ なたの代表する諸国の裁決にゆだねるためにおたずねした』」とある。 マッカ ーサーは天皇の言葉に深く感動し、「死をともなうほどの責任、それも私の知り 尽くしている諸事実に照らして、明らかに天皇に帰すべきではない責任を引き 受けようとする、この勇気に満ちた態度は、私の骨のズイまでゆり動かした」 と書いている。
○『昭和天皇独白録 寺崎英成御用掛日記』(文藝春秋・1991年)
「寺崎英成御用掛日記」昭和21年1月31日(木)の、半藤一利さんの「注」。 「1月25日、マッカーサーは参謀総長アイゼンハワー元帥あてに、重要な電報 を送っている。それは天皇を戦争犯罪人とすべきかどうか、くわしく調査せよ、 と指令されていたことにたいする回答なのである。このなかで、天皇を戦犯と みなすに足る「特別かつ確実な証拠」はなにも発見できなかった、とマッカー サーは述べ、さらに天皇を戦犯にすることが不得策である理由を強調した。/ 「もしも天皇を裁判にかけるなら、占領政策に大きな変更が必要である。天皇 は全日本国民の統合の象徴である。天皇を破滅させれば、すべて失われること を確信する。……(天皇裁判が行われることで起る混乱を鎮めるためには)最 低百万の兵力を必要とし、しかもはかり知れないほど長年月の駐留が必要とな ろう。……」(意訳)」
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