「ポツダム宣言」を読んでみる2015/08/16 07:16

5月20日の党首討論で、共産党の志位和夫委員長が、安倍晋三首相に「ポツ ダム宣言」に関する質問したことが報じられた。 志位氏は「過去に日本の行 なった戦争は、間違ったものだという認識はあるか。70年前に日本が受諾した ポツダム宣言は、日本が行なったのは間違った戦争だと明記している。総理は この認識を認めないのか」と質問した。 安倍首相は、「ポツダム宣言をつまび らかに読んでいないので、論評は差し控えたい」と答弁した。 志位氏は、「あ の歴史的文書を読んでなくて、首相が務まるのか」「ポツダム宣言も読んでいな くて、戦後レジームの脱却なんて言えるのか」と指摘した。 安倍首相は、志 位氏に一本取られた形になった。

そういえば、「ポツダム宣言」は、読んだことがなかった。 ネットで調べる と、外務省編『日本外交年表並主要文書』下巻(1966(昭和41)年刊)所収 の外務省訳が出てきた。 1945年7月26日 米、英、支三国宣言(「ポツダ ム」ニ於テ) 「一、吾等合衆国大統領、中華民国政府主席及「グレート・ブ リテン」国総理大臣ハ吾等ノ数億ノ国民ヲ代表シ協議ノ上日本国ニ対シ今次ノ 戦争ヲ終結スルノ機会ヲ与フルコトニ意見一致セリ」以下、十三項目からなる。 

志位氏が指摘したのは、その六だと思われる。 「六、吾等ハ無責任ナル軍 国主義カ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序カ生シ得 サルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙 ニ出ツルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレサルヘカラ ス」。 『ハフィントンポスト』日本版に、現代語訳があった。 「6. 日本の 人々をだまし、間違った方向に導き、世界征服に誘った影響勢力や権威・権力 は、排除されなければならない。無責任な軍国主義が世界からなくなるまでは、 平和、安全、正義の新秩序は実現不可能である。」

初めて読んだ「ポツダム宣言」だが、要点を簡潔に、日本に突きつけ、決断 を迫っている。 さらには、新憲法に盛られることになる精神や、経済と世界 貿易にまで言及していた。 「戦後レジーム」は、ここから始まっていた。

2.3. 世界中の自由な人々は立ち上がった。 米英中の陸海空軍は巨大で、 ドイツの抵抗に対して用いた力よりも測り知れないほど大きく、その軍事力を 集中すれば、日本軍は壊滅し、日本の国土は焦土と化すだろう。 13. われ われは日本政府に対し日本軍の無条件降伏の宣言を要求する。 かつ、誠意を もって実行されるよう、適切かつ十二分な保証を求める。 もし拒否すれば、 日本は即座にかつ徹底して撃滅される。

4. 日本が決断する時は来ている。 知力を欠いた身勝手な軍国主義者によ って制御されつづけ、滅亡の淵に至るのか、それとも理性の道を選ぶのか。 7.  平和、安全、正義の新秩序が確立されるまで、また、日本の戦争遂行能力が壊 滅したと明確に証明できるまで、連合国軍は指定する日本領土内の諸地点を占 領する。 8. 日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定す る周辺小諸島に限定する。 9. 日本軍は、完全に武装解除されてから帰還を 許し、平和で生産的な生活を営む機会を与える。

10. われわれは、日本を人種差別し、奴隷化するつもりもなければ、国を 絶滅させるつもりもない。 しかし、われわれの捕虜を虐待した者を含めて、 全ての戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を行うものとする。 日本政府は、 日本の人々の間に民主主義的風潮を強化しあるいは復活するにあたって、障害 となるものは排除する。 言論、宗教、思想の自由及び基本的人権の尊重が確 立されなければならない。 11. 日本は産業の維持を許される。 そして経 済を持続し、正当な戦争賠償の取り立てに充当する。 しかし、戦争を目的と する軍備拡張のためのものではない。 この目的のため、原材料の入手はこれ を許される。 ただし、入手と支配とは区別する。 世界貿易取引関係への日 本の事実上の参加を許すものとする。

12. 連合国占領軍は、その目的達成後そして日本人民の自由なる意志に従 って、平和的傾向を帯び、かつ責任ある政府が樹立される限りにおいて、直ち に日本より撤退するものとする。