現代語訳で知る玉音放送の内容 ― 2015/08/15 06:10
戦後70年、戦争終結を決めた御前会議が開かれた皇居の御文庫附属室の現 在の写真と玉音放送の原盤が公開された。 「大東亜戦争終結に関する詔書」 の玉音放送は、従来のGHQが複製したというものより、少しはっきりしてい るように聞こえた。 当時、ラジオを聞いて、何を言っているのか、わからな かったという話をよく聞いていた。 「堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬 世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス」というところだけ、繰り返し放送されるが、言 葉も難しいのだ。 「朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以 テ時局ヲ収拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク」と始まる。
8月1日、朝日新聞朝刊はその現代語訳を掲載した。 国文学研究資料館・ 寺島恒世氏、国立国語研究所・間淵洋子氏の協力によるという。 これを読ん で、玉音放送で昭和天皇が何を述べたのかが、初めてわかった。 最初の部分 は、「私は、深く世界の情勢と日本の現状について考え、非常の措置によって今 の局面を収拾しようと思い、ここに忠義で善良なあなた方国民に伝える」。
大事だと思うところを抄出しておく。 「そもそも、日本国民の平穏無事を確保し、すべての国々の繁栄の喜びを分 かち合うことは、歴代天皇が大切にしてきた教えであり、私が常々心中強く抱 き続けているものである。先にアメリカ・イギリスの2国に宣戦したのも、ま さに日本の自立と東アジア諸国の安定とを心から願ってのことであり、他国の 主権を排除して領土を侵すようなことは、もとより私の本意ではない。」
(しかし、交戦状態もすでに4年を経過し、陸海将兵、全官僚たち、1億国 民の、身を捧げての最善の尽力にかかわらず、戦局は好転せず、世界の情勢も また我が国に有利とは言えない。 敵国は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使 い、むやみに罪のない人々を殺傷し、その悲惨な被害が及ぶ範囲はまったく計 り知れないまでに至っている。)
「それなのになお戦争を継続すれば、ついには我が民族の滅亡を招くだけで なく、さらには人類の文明をも破滅させるに違いない。そのようなことになれ ば、私はいかなる手段で我が子とも言える国民を守り、歴代天皇の御霊(みた ま)にわびることができようか。これこそ私が日本政府に共同宣言(ポツダム 宣言)を受諾させるに至った理由である。」
「私は日本と共に終始東アジア諸国の解放に協力してくれた同盟諸国に対し て、遺憾の意を表さざるを得ない。日本国民であって、戦場で没し、職責のた めに亡くなり、戦災で命を失った人々とその遺族に思いをはせれば、我が身を 引き裂かれる思いである。さらに、戦傷を負い、戦禍をこうむり、職業や財産 を失った人々の生活の再建については、私は深く心を痛めている。」
「考えてみれば、今後日本の受けるであろう苦難は、言うまでもなく並大抵 のものではない。あなた方国民の本当の気持ちも私はよく分かっている。しか し、私は時の巡り合わせに従い、堪え難くまた忍び難い思いをこらえ、永遠に 続く未来のために平和の世を切り開こうと思う。」
「私は、ここにこうして、この国のかたちを維持することができ、忠義で善 良なあなた方国民の真心を信頼し、常にあなた方国民と共に過ごすことができ る。」
「まさに国を挙げて一家として団結し、子孫に受け継ぎ、神国日本の不滅を 固く信じ、任務は重く道のりは遠いと自覚し、総力を将来の建設のために傾け、 踏むべき人の道を外れず、揺るぎない志をしっかりと持って、必ず国のあるべ き姿の真価を広く示し、進展する世界の動静には遅れまいとする覚悟を決めな ければならない。あなた方国民は、これら私の意をよく理解して行動してほし い。」
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