清水卓司さん撮影『おとなの浅草案内』2015/10/08 06:28

 写真家の清水卓司さんが、浅草の写真を撮り続けている話は、だいぶ前から 聞いていた。 清水さんは大学の同期で、卒業25年記念事業以来のお付き合 い、2009年7月4日の「等々力短信1000号を祝う会」の美しい写真を撮って くれた。 浅草では、浅草寺の法事や催事はもとより、浅草観光連盟のいろい ろな行事、名所旧跡、老舗の伝統工芸品、食事処、土産屋、そして浅草を訪れ、 親しんでいる多くの人々を、収めて来た。 「ふだん着のおもてなし文化、レ トロな浅草風情」を写した、その清水さんの写真を中心にして、このほど『お となの浅草案内』(副題は、行くたびに新発見!)という楽しいムックが、日経 BP社『日経おとなのOFF』特別編集で発行された。

 「浅草の歳時記」にある、五重塔の雪景色、隅田川花火大会、灯籠流しの写 真は、思わず見惚れてしまうほど美しい。 大きなサイズで収録されているか らだ。 私などは、こうしたムックの形でなく、大判の写真集として、出版し たらよかったのに、と残念に思ってしまう。

 「今行くべき 懐かしくて、新しい浅草ガイド」と表紙にある。 その通りで、 浅草入門書として、実に行き届いている。 「浅草グルメに舌鼓!」には、浅 草の旦那と女将が座談会で、日頃から実際に通っている、粋でおいしい、そし て安いお店が、たくさん紹介されている。 それは、ひとまず擱いて、これも 大学同期の、かりんとう「小桜」井田健爾さんの一日は、お参りから始まるの が日課、観音様(浅草寺)、三社様(浅草神社)など、五つくらいの寺社を回る という。 このブログでも、しばしばご登場頂いている仲見世・江戸趣味小玩 具「助六」五代目店主の木村吉隆さんは、観音様から影向堂(ようごうどう) へ行き、さらに被官稲荷(ひかんいなり)に行って、しめが三社様へのお参り だそうだ。 被官稲荷は、あまり知られていないが、観光客にも、ぜひ訪れて ほしい場所で、本堂が半畳ほどしかない小さな神社だが、就職や出世の神様と して古くから信仰を集めているという。 私は、被官稲荷を知らなかった。 も ちろん場所も…。 ムックの浅草寺イラストMAPにないので、調べると、浅 草神社の拝殿の右の奥にある。 安政元年、新門辰五郎の妻が重病になった折、 京都の伏見稲荷神社に祈願したところ、全快した。 そして同二年、町の人た ちがお礼の意味も込め、伏見稲荷神社から祭神御分身を当地に勧進したという。  名称の由来は不明というが、官を被(こうむ)る、ということから、就職や出 世と解せばよいだろうという。

 脱線したが、浅草の旦那と女将推薦の店。 私がちょっと行ってみたいと思 ったのは、「弁天山美家古壽司」、井田さん推薦の観音裏のフレンチ「オマージ ュ」、木村さん推薦のイタリアン「フォカッチャ」・中華屋「味乃一番」など。 「並木藪蕎麦」「大黒屋」「割烹家 一直」「駒形どぜう」「鰻 駒形 前川」「水口 食堂」には、行ったことがあった。

 浅草演芸ホールの紹介に、今年の仲間内の新年会の余興に来てもらった、金 原亭馬玉の真打昇進襲名披露の写真があるのが、嬉しかった。