「秋の山」と「稲」の句会2015/10/12 06:29

 8日は、『夏潮』渋谷句会があった。 兼題は「秋の山」と「稲」、私はつぎ の七句を出した。

秋の山見に行き天に召されけり

その秋も福島の山粧へり

声もなく見蕩れ栗駒山の秋

秋嶺のスイッチバックありがたき

すつかりと奥ノ院まで秋の山

出水して哀れ稲田を覆ひけり

畦の木に棒を連ねて稲を干し

 私が選句したのは、次の七句。

鐘の音の幽かに一つ秋の山     真智子

今朝はまた近くに見ゆる秋の山   明雀

一筋の滝の白さや秋の山      真智子

拝殿の廊に初穂を架け干せる    和子

小海線稲のうねりの中をゆく    盛夫

美濃羽島川より低き稲の秋     松子

稲の香や畦に安らぐ三世代     松子

 私の結果は、<声もなく見蕩れ栗駒山の秋>を英主宰と耕一さん、<秋嶺の スイッチバックありがたき>を善兵衛さん、<すつかりと奥ノ院まで秋の山> をやすしさん、<畦の木に棒を連ねて稲を干し>を淳子さんが、採ってくれた。  主宰選1句、互選4票、計5票、あいかわらずのチョボチョボである。

 主宰は<声もなく見蕩れ栗駒山の秋>をこう評して下さった。 「栗駒山の 秋」は、面白い言い方。 リズム、「栗駒」「山の秋」と渡り句になっている。  栗駒山は、あまり多くの人が行くところではないが、雄大な紅葉で知られる。

 私が選句した句について、主宰の選評。 <鐘の音の幽かに一つ秋の山 真 智子>…山のどこかに寺院があるのだろう。あの辺にお寺がある。 <一筋の 滝の白さや秋の山 真智子>…季重ねをこわがることはない。夏とは違う風情。  <美濃羽島川より低き稲の秋 松子>…なるほど、岐阜羽島のあたりは、豪農 が多く、治水も行き届いている。「低き」は「低く」の方がよい。