『まいにち養老先生、ときどき まる』スペシャル ― 2021/04/04 07:33
テレビばかり見ているようだが、巣籠りでテレビばかり見ているのだ。 一昨日も城島茂、国分太一、松岡昌宏の三人が株式会社TOKIOをつくったというニュースを見て、「長瀬智也は辞めたんだ。プロレスに行ったんだ」と言った。 若い人は、テレビは見ない、新聞は読まない、というが、巣籠りでも、スマホやパソコンを見ているのだろうか。
3月13日放送の『まいにち養老先生、ときどき まる』スペシャル(永井朝香ディレクター)を見た。 猫の「まる」は、18年前に養老先生のところに来て、2020年12月に死んだ。 番組は、「まる」がいた頃の、養老先生と「まる」に密着している。 養老先生はつぶやく。 養老先生のつぶやきは深遠、難解で、当方は「バカの壁」にさえぎられるから、そのまま書くほかない。 「人間はたちがいい、消えるもん。」 「くよくよ考えても、しようがない。」 「ボケーーっと、だいたい寝ている。」
友人の生物学者、池田清彦さんが来て、養老先生はゾウムシの解剖をやっている話をする。 大きな顕微鏡で覗くと、細部が何とも絶妙につくられていることがわかる。 人間の眼が、「見えるのは1割。9割は脳味噌で見ている。」
〇東慶寺の墓地。 「人間は不安と折り合わなきゃあいけない。墓は「よすが」、記憶」だと、養老先生。 そこで、『広辞苑』で「よすが」【縁・因・便】を引く。 (1)ゆかり。たより。えん。 (2)夫・妻・子など頼みとする相手。よるべ。手がかり。 (3)物事をするのに、たよりとなること。手がかり。 養老先生は、5歳の誕生日の前に父を亡くした。 「自分」の死はない。 死は二人称。 「知り合い」の死だけ、感じる。
〇大塔宮(おおとうのみや・護良親王)鎌倉宮。 6月に入院した。 83歳。10㎏以上痩せた、検査で引っ掛かって「心筋梗塞」と判明、手術をした。 運がよかった。 テレビの画面にお地蔵さんが五つ、地味なお迎え。 ついて行けば、死んでいた。 よく、寝る。
〇安国論寺。 日蓮が建長5(1253)年に開山。 元寇(文永11(1274)年、弘安4(1281)年)の前、不安な時代。 平安から鎌倉へ。 平安は、情報化社会、頭の時代、時間が経っても変わらない。 『方丈記』は変わる(人生は無常、諸行無常)、鎌倉は、身体の時代、考え方の前提が変わる。 どんどん変わっていく。 年を取ると、頭の時代から、身体の時代へ。 今(現在)は、頭の時代、だんだん身体のことを考えるようになる、健康に。 自分は「存在自体が、不要不急」。
人間にはドーパミン回路があって、報酬系(欲求が満たされたときや満たされるとわかったときに活性化し、快い感覚をもたらす)。 予測がずれると、活性化する。 新しいものを、追いかける、“More”モア。 それが、やがて恋愛から生活になるように、“Here & Now”「今、ここ」、日常に切り替わる。 現在を受け入れる喜び。
足立真穂(編集者)『新潮』「コロナの認識論」担当が来る。 「参勤交代」は二拠点、場所依存と先生はおっしゃつていたけれど、「まる目線で生きる」を書くのは、どうですか、と提案。 〇文化は裏。 文化は解毒剤。 入って来るものを、変えてやる。 対人から、対物へ。 ビル、アスファルト、車から、花鳥風月へ。
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