俳諧道場・鴫立庵での句会2021/12/02 07:15

 急ぎ弁当を食べて、「鴫立庵室」で句会となる。 私が出したのは、次の七句。
  オミクロン来ぬ間の吟行冬の凪
  おだやかな冬の木洩れ日円位堂
  萱葺の庵の句会白障子
  三千はおろか七句も秋の暮
  あたたかや福翁すゝめし避寒の地
  藤村の旧居水仙活けてあり
  三ッ尋の大ケロ松の冬天へ

 私が選句したのは、次の七句。
  日向ぼこ尻を叩いて去りにけり      たから
  山茶花や漬物石の如き墓         かおる
  人影の付かず離れず浜小春        次郎
  大磯の冬やレモンも色づきて        英
  冬の蠅としたしむことも庵主吾       英
  冬日向けふはも書庫を開けはなち     英
  冬凪の彼方や利島疣のごと         英

 私の結果。 <おだやかな冬の木洩れ日円位堂>を一舟さん、<あたたかや福翁すゝめし避寒の地>を伸次さん、<藤村の旧居水仙活けてあり>を英先生、次郎さん、かおるさんが採ってくれた。 英先生選一句、互選四票、計五票とちょぼちょぼの結果であった。 庵主英先生の句を、四句も選句していたのが、手柄といえば手柄であろうか。

 英先生の<藤村の旧居水仙活けてあり>選評。 静かな句。 この静けさは島崎藤村という作家の晩年を詠んでいるのかもしれない、一輪挿しの水仙。 今は読む人も少なく、その生活はののしられることもある。 『破戒』の出版の際には、赤壁の家(雨村・神津猛)に泣きついた。