たい平43歳で「もう一度、運転免許」2016/04/26 06:21

 林家たい平は、横浜・にぎわい座で定期的に独演会「天下たい平」を続けて いる(私は知らなかった)。 『林家たい平 快笑まくら集』(竹書房文庫)は、 その会での「まくら」を収録したもので、最初が2008年4月8日の第26回 (Vol.26)で、2012年4月8日の第50回記念の口上や、2014年8月10日の 第64回までの選り抜きに加え、2015年3月24日の神奈川県民ホール寄席の 独演会のものが入っている。

 たい平は、現在51歳。 4、5年前に運転免許を失効させていたのに気づき、 2008年43歳で、鮫洲へ「一発免許」というのを取りに行った話が、「もう一 度、運転免許」という「まくら」だ。 朝の8時半から行ってきましたよ、鮫 洲の試験場。 もう、あの、びっくりしますね。 普段は、にぎわい座に来て 頂いているお客さんも、ちゃんとなさっているし、ラジオでの仕事仲間も、ち ゃんとしていて、そういう人としか付き合っていないんですよ。 試験場は原 付の免許から、すべての免許を一つの教室でやるもんだから、16歳から43歳 までが一緒に試験を受けるんで、もの凄いですよ。 日本人なのに日本語が通 じない人たちが、たくさん来ている。 凄いです。 びっくりしましたね。

 いっぱい書いて壁に貼ってある。 テストは鉛筆と消しゴムで、無い方は売 店で買って下さい、とか。 そういうことも、読んでいないんですね。 始ま ってから5分ぐらいしたら、ぼくの前のやつが、質問した。 「間違えちゃっ たときは、どうしたらいいんですか?」 15分ぐらいしたら、こっち側のやつ に電話がかかってきて、「はい、もしもし、俺、今、試験中……」 「おーい、 ちょっと、だめだよ君、試験中なんだから携帯電話を切りなさいよ」 「かか って来たので」 「かかって来たので」って、喧嘩じゃないんですよ。(私はお 茶を飲みながら、ここを読んでいて、吹き出した。それで、このページがシワ シワになっている) もうね、普通のルールがわかっていない人たちが多いん ですよ。 何ですかね、あの若いやつら、歩き方がおかしいですね。 何だろ うな? ぼくたち普通に歩くじゃないですか。 それがズボンが腰の下まで、 こう、こうなっているので、みんな。

 あんなにプレッシャーを感じた試験は無かった。 こいつらが合格して、お れが落ちたらどういうこと? ってね。 おれの人生43年間何だったんだろ うって、もう必死でしたよ。 頑張ろうって、もう何回も見直してね。 まあ、 とにかく受かったんでよかったですよ。

 この間、実技を受けてきた。 知っています? 最近、救急救命の試験とい うか、授業があるんですよ。 ここに「トーマス君」という人が寝ていまして、 何でいきなり外国人なんだと思うんですけど。 まず意識があるか確認する。  「大丈夫ですか、大丈夫ですか、トーマスさん、大丈夫ですか」 倒れている のに、何で名前がわかるんだ。

 次回は10月ですから、それまでには運転免許を取って、ここの皆さんの前 で終演後、道路に出ていただいて、坂の上の方から車でブゥーッと、それをお 見せしたいなと思っておりますので、お楽しみに。 「ポルシェ」(と、客席か ら声がかかる。) いやいや、ありがとうございます、もうラジオ聴き過ぎです よ。 そうなんですよ、もうね、免許がないのにテリー伊藤さんがね、ポルシ ェに電話してね、「この人がポルシェ買います」と。 信じなければいいのに、 営業の人がポルシェに乗って見せに来る、契約書まで持ってきて、ハンコをつ くだけになってました。 「ぼく、免許も持っていないし、お金も無いんです から、ポルシェなんか買えないですよ」と言っているのに、テリーさんがその 横で、「ポルシェを二台ください」って。 どうやら自分の分も入っている。