福沢諭吉、『時事新報』の積極的な鉄道論2022/06/27 07:05

 福沢、『時事新報』は、小室正紀さんによると、この時期しばしば鉄道について、積極的に論じている。 小室さんの【主旨】でみてみたい。

 局外窺見(きけん)」明治15年7月19/20/21/25/26/27/28/29日(自筆原稿)では、「本質を見る見方で西洋文明を考えれば、その骨髄は、運輸交通である。運輸交通は直接の実利は見えにくいが間接の効果は大きい。道路などの運輸交通については政府の保護が必要だが、偏りがないように「一般の法」を設けて全国一般に保護する必要がある。保護はより間接的な方がよい。」

「鉄道論」明治15年9月22/25日、「鉄道は、人智の発達、経済の盛衰の要であり、軍事上も意味が大きく、しかも経済上の効果が見込めるのに、日本では、その便益・効果が認識されず、敷設が進まないことを嘆く。」

 「鉄道敷設」明治15年11月8日(未掲載)、「人民による鉄道敷設が進まない現状に鑑み、政府が、1000万円の外債を募集して鉄道敷設に着手すべきことを主張。」

「東京大阪間ノ鉄道連絡」明治16年11月30日(未掲載)は、「政府が、中仙道経由東京大阪間鉄道連結工事のため、17年度に工部省へ50万円を下付することに対して、この支出では20年を要し、余りに緩慢に過ぎると批判する。」

「大に鉄道を敷設するの好時節」明治16年12月1/3/4日は、「鉄道敷設の利益を収支の点から示し、富豪有志に私立の鉄道建設を勧めるとともに、人心がその方向へ進まない時には、政府が内外国債を発行して、各路一斉に起工することを勧める。」

「日本国の鉄道事業」明治19年3月12日~4月14日(未掲載)
一、「日本の鉄道事業ハ十五年間に二十英里宛の進歩なり」3月12日
二、「世界中に日本ほど鉄道工事の進まざる国を見ず」3月13日
三、「世界鉄道の統計に照せば日本鉄道の緩慢は彌々明なり」3月15日
四、「日本鉄道会社は早くその一千四百万円を利用すべし」3月16日
五、「即座に三千四百余万の鉄道資金あり」3月18日
六、「鉄道建設は迅速なることを得べし」3月19日
七、「日本国の鉄道は日本西洋の両地に於て之を経営すべし」3月22日
八、「東海山陽西海の鉄道工事最も急速を要す」3月23日
九、「鉄道の資金を得るは無造作の業なり」3月24日
十、「鉄道の要ハ少しく金を費し多く其益を享くるに在り」3月26日
十一、「日本鉄道の建築には務て費用の廉なるを要す」3月27日
十二、「廉なる二英里の鉄道は不廉なる一英里の鉄道に優れり」3月29日
十三、「米国の鉄道は最も廉価なり」3月30日
十四、「狭軌道は広軌道に如かず」4月1日
十五、「既成三百英里の為めに前途幾千里の鉄道工事を枉(ま)ぐるは非なり」4月2日
十六、「米国の鉄道は決して危険ならず」4月3日
十七、「米国の鉄道の営業費ハ決して不廉ならず」4月6日
十八、「鉄道事業には利益無かる可らず」4月7日
十九、「日本鉄道の乗車賃は甚だ不廉なり」4月8日
二十、「貨物の運賃も亦低きことを要す」4月12日
二十一、「乗客の種類と乗車の目的は千変万化なり」4月13日
二十二、「客車(きゃくゞるま)の製ハ米国鉄道のもの便利なり」4月14日
二十三、「日本政府の鉄道政略を聞かんことを望む」4月15日
(この論説の筆者は? 福沢は3月10日~4月4日、東海関西漫遊旅行中で、当時の『時事新報』社長で、実質上の№2中上川彦次郎の可能性がある。)

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